社長ではなく社員が自律型組織を望んだ時のみ、それが実現する

自律型組織は社長が1人で創ろうと思ってできるものではありません。
社員がそれを望み、自分たちで創り上げるから「自律型」なんだよね。
社長に「もっと自発的に動きなさい」と言われて「ハイ!」と従うのは、全然自発的とは言わないですよね(笑)

自律型組織は「つくる」ではなく「なる」…要件が整えばなるものだと考えています。
社員が望み、社員が主体的に創り上げることです。
どうすればそうなるのか?…今日は成立要件について考えたいと思います。

何でも伝えりゃ良いってもんじゃない

当たり前の話ですが、なぜ言われなくても動くのか?というと「本人がそれを望んでいる」からです。
実現を望むワクワクする未来がある。
あるいは、やらないと大変な事になるという危機感です。
それなくして自発性を求めても無理な話だと思います。

自社に魅力的なビジョンはあるか?…目を閉じればその未来が動画で再生されるようなビジョンはありますでしょうか?
しかも、それを社長が一方的に伝えるのではなく対話することが大切です。
人は自分が参画するから「自分事」に捉える性質があるからです。
ビジョンはみんなで創っても良いし、社長が考えた場合は「みんなはどう思う?」と投げかけ対話することが欠かせません。

魅力あるビジョンではなく危機感から自発性が発揮されることもあります。
あまり経験したくない事態ですが、実際にはこのケースは多いと思います。
しかし、社長が一方的に「このままじゃヤバい」と言っても、それは他人事です。
根拠となる数字…決算書を公開しないと真剣に考えてはくれないと思います。
さらに、ビジョンと同じように「どう思うか?」と対話することが欠かせないと考えています。

その上で「どうするか?」…ビジョンを描くわけです。

自律型組織になるには14の役者が必要

人の集団は実現を望むミッションがあれば役割を自律的に決め、行動する力を持っています。
例えば、僕が高校生の時に近所で火災が発生したことがあります。
その時のご近所さんの結束と自律性は凄いものがありました。
消防車が来る前に、誰にも指示されずに役割を決め消火活動にあたりました。
ある人は誰かを誘い消火栓を開き放水を始めました。
ある人は119通報をして、またある人は近所に「火事だー!」と報せてまわりました。

しかも、普段は中の悪い人たちも、その時ばかりは力を合わせていたんだよね。
消火というミッションに向かい自律的に役割を決め行動したのです。

企業の活動は消火活動に比べると役割は複雑になります。
集団が創造活動をする際には、大きく分けて2つの機能が必要になると言われています。
「パフォーマンス機能」と「メンテナンス機能」です。
前者は集団が良い成果を出すために必要な機能で、後者は集団が安心で居心地が良い場になるために必要な機能です。

パフォーマンス機能には7つの役割があります。

「率先して行動するイノベーター」
「イノベーターを積極的にフォローする人」
「周りの人を誘ったり意見を求める人」
「発言に質問を投げかけたりして議論を深める人」
「状況をまとめる人」
「みんなが納得しているか合意を確認する人」
「違うと思ったことに反論する人」

メンテナンス機能にも7つの役者がいます。
「いいね!と励ます人」
「チームの気分を見える化する人」
「対立を緩和する人」
「行き詰りを打破する人」
「みんなが発言できるように交通整理をする人」
「ものごとの決め方にみんなが納得しているか確認する人」
そして指示ゼロ経営リーダーの「信頼して見守る」です。

この役者は、刻一刻と変わる状況の中ではリーダーが采配することは難しく、まさしく自分たちで自律的に決めていくことが求められます。

そして役者が揃うと集団はものすごく賢くなります。

集団が自由闊達に議論すると1人の力を超えたパワーを発揮する

指示ゼロ経営セミナーでは集団の賢さを試す面白いワークがあります。
課題はこうです。

アメリカ人が日本の国を動物に例えた場合、次の1順位になりました。1トラ 2ネコ 3キツネ 4ネズミ 5サル 6イヌ 7ヒョウ 8ライオン 9リス 10ゾウ。さて日本人が日本と言う国を動物に例えた場合どのような順位になるでしょうか?

これは日米、各国1500人を対象に調査したものです。
まずは1人で考え、その後グループで議論をして順位を決めます。
この時点で、参加者は14の役者のことを知っているので、ほとんどの場合、議論が高質なものになります。

グループで議論した順位が出揃った時点で、僕が1500人に対する調査の結果を発表します。
すると、ほとんどのケースで個人よりもグループで出した結論の方が調査結果に近くなるのです。
あ、どんな順位かはネタバレしますので内緒ね(笑)

このワークは正解があるものです。
しかも、日本人の平均的な考え方を導き出すもので、決してクリエイティブなワークとは言えません。
それでも集団の知恵は賢いことが分かります。

これが正解のない創造性が求められる課題の場合、自律型組織の成立要件を知っているか否かで大きな差が出ることでしょう。

自律型組織は社長がどんなに望み頑張っても実現するものではありません。
「全員が」望み、全員の力で成るものです。

1人で頑張らずに社員さんに助けを求めることだと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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6人ほどのチームを創り、実際に自分たちの力で自律型組織を創る体験を通じ、指示ゼロ経営の要点を身体で覚えます。
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6月25日(月)名古屋開催はコチラ