上司に異論を唱える文化があるか?

正解がない時代では、これまでの経験が役に立たないことが多いため「経験豊富」の価値は減る一方です。
だからこそ、上下関係を超えた自由な対話を通じ、常に現在進行系の意思決定を行うことが求められます。

そこで問いたいのが「自社には、上司に異論を唱える風土があるか?」ということ。

もしなければ、柔軟な知恵を出すことができないばかりか、取り返しのつかない事故が起きる危険性もあります。

数ヶ月前の話ですが、京大病院で、脳腫瘍の手術中に誤って正常な部位を摘出するという不幸な医療事故が起きましたね。
手術中、摘出した部位の病理検査を2回行い、2回とも「腫瘍ではない」との結果を得たにも関わらずミスが起きたのです。
事故の詳細な原因は調査結果を待つ必要がありますが、僕が気になったのは、執刀医に対して異論を唱えるメンバーがいなかったのか?ということです。

医療のように一つの判断が重大な結果につながる現場では、「異論を言える環境」が極めて重要ではないでしょうか。

山崎豊子原作の「白い巨塔」のドラマでは、度々、教授が部下に対し「君は私に意見するのかね?」と責める場面が描かれていますが、あれはドラマの中だけの話ではないのかもしれませんね。

上の者に物申せないことで起きる事故は登山隊でも起きています。
南カリフォルニア大学は、過去50年分にわたる、エベレスト登山隊、3万人以上のデータを集め、登山隊の出身国と遭難事故の発生率について調査しました。
その結果、権力に依存する風土が強い国の登山隊の方が事故発生率が高いことが分かりました。
「上の言うことに無条件に従う」という文化では、刻一刻と変化する状況に対応できないということです。

以前のように、モノを大量に作ることが命題だった時代では、上意下達による一気呵成で成果が上がりましたが、現場単位で知恵が求められる現代では、よりフラットで開放的な対話が求められます。

しかし、これが一筋縄ではいかない。
というもの、儒教の影響を残す日本では、上下関係を重んじ、年長者に従うことを美徳とする文化が根強く残っているからです。
会津藩の「什の掟」には、「年長者の言うことには背いてはなりませぬ」という項があり、「ならぬことはならぬものです」と締めています。
問答無用ということです。

そんな慣習が残る中では、あえて「反論役」を置くといった強力な対策が求められます。
指示ゼロ経営には、集合知を生むために必要な役割を14に分類していますが、その1つが「反論者」という役割です。

会議では、メンバーの中から1人か2人、組織公認の「反論者」を指名し、会議の要所で反論を入れ、会議を常にニュートラルに保つようにします。
反論への抵抗を減らすために「反論者は欠くことのできない役割」「反論者を責めない」「反論者の意見は、一旦受け止めてから会議を続ける」といった認識を作ることが重要です。

また、「私には◯◯のように見える」といった、いい意味で他人事のような伝え方をすることも、抵抗を和らげるコツです。

よく、「何でも自由に言っていい」と呼びかけることがありますが、それで自由に発言した場面を見たことがありません。
あえて反論役を置くくらいのことをしないと自由闊達な議論は難しいかもしれません。

その前に、まずはリーダーが、安心して反論してもらえる人になることではないでしょうか。
勇気が要ることだとは思いますが、挑戦する価値は高いと思いますよ。
.

※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!
読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。


❚指示ゼロ経営を学びたい方へ

25年間に渡る実践と研究知見を様々な形で公開しています。 これまで、企業や教育機関などで1万人以上が学び実践しています。

どの学び方から始めますか?