「顧客を会議に呼べるか?」という視点で自社の健全性をチェックする。
企業繁栄のバロメーターとして「顧客を会議に呼べるか?」という視点があります。
そもそも商売はお客様の役に立ち喜ばれるから成り立つものですので、顧客の利益を主眼に置いて話し合われるべきです。そういう会議なら、顧客にいてもらっても問題ないですよね。
ところが、顧客に聞かせられない話し合いをしている企業もあります。
今日のブログでは、この当たり前を改めて考えたいと思います。
話は最新技術から。
iphoneのiOS 26に「着信スクリーニング」という機能がつきました。
これは、登録していない番号からの電話に対して、iPhoneが、相手に名前と用件を言うよう求め、それを文字起こししユーザーに出るかどうか?を尋ねる機能です。
僕のスマホには毎日のように不動産業者などからの営業電話がかかってきます。「0800」など、いかもといった番号は出ないようにしてきました。
しかし、ここ1ヶ月くらいですが「090」で始まる番号からかかってくるようになりました。
出ちゃうんですよね(笑)
きっと、出てもらうための対策なのだと思いますが、その努力を顧客に喜ばれることに費やした方が良いと思うのです。
そういう意味では、顧客本位の「着信スクリーニング」を開発したAppleの方が繁栄の理に則った商いをしていますね。
というわけで、早速iOSをアップデートして試したのですが、これが効果テキメン。営業電話がゼロになりました!
これから益々、顧客本位ではない経営は淘汰されていくでしょう。
偉そうなことを言っていますが、僕も過ちを犯した経験があります。
僕が新聞店を経営していた時代は訪問営業が主流でした。訪問営業は嫌われますので、インターホンで撃退されてしまいます。
そこで「訪問理由を作る」という姑息なことを考えたのです。「キャンペーンのお知らせ」「営業担当者が変わったので挨拶に来た」などですが、そもそもの目的が自分本位なので、顧客は応じてくれません。
そこで、顧客を起点に経営を考えた結果、会議で話し合う内容が、顧客に聞かれても問題ないものになっていたのです。
その結果、全社員がお客様に喜ばれることを開発する「モア心地よさ運動」と言うものが立ち上がりました。
例えば、お客様に届け物をする際には、感謝を伝える手書きのメッセージを添えたり、独居老人宅で前日の郵便物が残っていないか点検をしながら新聞を配ったりしました。(残っていたら具合が悪く動けない可能性がある)
モア心地よさ運動の成果で、お客様との関係性が向上し、やがてお客様から様々な相談を受けるようになりました。中には「効果的なエアコンの使い方を教えて欲しい」など、新聞店に相談するようなことではない案件を受けることも。
相談を分析すると、多くが、地域が抱えている課題だということが分かりました。同時に、課題が多様であるため、行政の手に負えないことも分かりました。
そんなある日、ある幹部社員が、「地域の人が指示ゼロ経営の要領で、自分たちで解決できるようになれば良いのでは?」と提案しました。
そのアイデアを行政が評価してくださり、今では、行政の指定管理業者として地域づくりの事業を行っています。顧客に喜ばれることを徹底した結果、新しいビジネスが開発されたのです。
今、KPIによる経営管理を取り入れる企業が増えています。
例えば営業分野では「新規顧客獲得数」「受注率」「リピート率」といった、一連のプロセスを数値化して管理します。
とても合理的な方法ですが、数値だけを見ていたら、顧客の都合を無視した施策を立てる危険性があるので注意が必要です。
最後に、アダム・スミスの金言を紹介して記事を締めたいと思ます。
「他人の幸福を求めることは、自分の幸福を求める最も確実な方法である」
御社の企画は、お客様に聞かせられる内容か?…そんな視点でチェックしてみてはいかがでしょうか。
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