“なんとなく”が組織を鈍らせる…今すぐやめるべき「意図なきマネジメント」

私たちは、ちゃんとした理由を持たずに「なんとなく」行動してしまうことがあります。
僕は、自由や偶発性を大切にするタイプなので、いちいち言動に理由付けをすることは好きではありませんが、組織で行動する場合、理由なき行動は混乱を招きますので注意するようにしています。

意図とは「なぜ、それをするのか?」という問いに対する答えです。
意図を持つと次の3つのメリットが得られます。

1、選択肢が増える。
2、良いアイデアが生まれる。
3、部下が助けてくれる。

日本ラグビー代表の元監督、平尾誠二さんは、いつも「いいパスとはどういうパスか?」という問いを選手に投げかけたそうです。
すると「ボールの軸がしっかりしている」とか「受け取りやすい」といった意見が出るそうですが、平尾さんは、いいパスの条件は1つしかないと言います。

それは…「そのパスによって勝利が近づくか?」です。

この思考訓練を行うと、選手は、ある場面に遭遇した時に、パスの選択肢を複数ピックアップし、その中で「いいパス」を選択できるようになると言います。
だから変化に強くなる。
さらに、パスに「勝利に接続する」という意図があると、パスを受ける人も最適な行動をしてくれます。

ビジネスの現場も同様ではないでしょうか。

例えば、ある企業では、部下との1on1の面談を行う前に、部下に「業務改善をする上で、現場の意見を聞きたい」と意図を最初に告げました。
それにより、部下は、そのポイントに合う課題を出してくれました。

逆に、意図を告げずに行った企業では、「給料が少ない」「経営陣は現場を理解していない」など、広範囲な会社への不満が出て収集がつかなくなりました。結局「会社は不満を聞いただけで何も改善しない」と、さらに不満が増幅してしまったのです。

意図を伝えず「最近どうよ?」と自由に対話することで、思いがけず色んな話が聞けるというメリットは確かにありますが、それは意図を共有した上で行った方が良いと思います。

他にも、経営計画にも明確な意図を盛り込むことが大切です。
例えば、格安航空会社「ピーチ」の創業時、社長の井上慎一氏は、最初に事業創設の意図を考えました。

創業には非常に高いエネルギーが必要ですし、格安航空に至っては、コスト管理など、現場社員にかかる負担も大きくなります。
意図がなければモチベーションを維持することは難しいでしょう。

考え抜いた結果、次のような結論に至りました。

「お金のない若者でも世界中を旅することができ、友人が増え、草の根の平和ネットワークができる」

意図が共有されるメリットは、モチベーション維持の他にもあります。

・行動の選択肢を複数持つことができ、その中で最適なものを選ぶことができる。
・外部変化に揺れても、目的が分かっているので、柔軟かつ素早く対応ができる。
・部下が悩んだ時にも、上司は「目的は何だっけ?」と問うことで、自ら解を導くことができる。

「意図なんて分かっているだろう」と思ってしまいますが、明確に伝えないと理解されることはありません。
部下の行動に不満を感じたら、文句を言う前に「意図を告げているだろうか?」と自らを省みることが大切だと思います。
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