「自分らしさ」ハラスメント

書店に行くと「自分らしく生きる」というテーマの本がたくさん並んでいますね。
それだけ、多くの人にとっての関心事であり、同時に、らしく生きられていないと感じている人が多い証だと思います。

こうした風潮の中、本棚を隅々まで探すと、まったく違った概念を提唱している本に出会います。
そもそも「本当の自分」など存在しないと説くのは、小説家の平野啓一郎さんです。
平野さんは、このことを「分人主義」という概念で整理しています。「分人」とは、平野さんの造語なのですが、そもそも決まった自分なんて存在しない…友人、家族、職場…人によって自分の顔が変わるものだと主張します。

自分というのは、多種多様な「分人」の集合体ということです。

僕は、自分探しに疲れている友人に、この本を紹介したところ「心が楽になった」と言っていました。
友人のように「らしさ」に縛られ、かえってぎこちなくなる人も多く、僕は「らしさ」を求める風潮は、もはやハラスメントとさえ感じています。

禅の世界にも素晴らしい知見があります。
京都妙心寺退蔵院の松山大耕 副住職は、アイデンティティに関し次のように説いています。

自分らしさを求めて探し回ったけれどもなかなか見つからない。そんな人も大勢おられると思います。仏教では独立した個人やアイデンティティーを求めません。置かれた状況によって、柔軟にその存在を変えられる、その関係の多様性が自分につながると考えます。
自分ばかりにフォーカスするのではなく、周りとの多層な関係性を大切にすることで、かえって自分とは何かと言うことに気づくきっかけになるのではないでしょうか。

僕は、この一節…「周りとの多層な関係性を大切にすることで、かえって自分とは何かと言うことに気づく」という部分に真理があると考えています。

「やじろべえ」は、左右に振れているうちに、最後に「あるべき場所」に落ち着きますよね。
それと同じように、色んな顔をすることで、自分にとってしっくる来るあり方が観えてくると思うのです。
まあ、それも過度に求めずに、気楽に変幻すれば良いと思っています。

自分を定義するより、色んな自分を味わう…おでんのように、時間をかけ色んな味が混ざり合うことで独自の美味を醸し出すのではないでしょうか。

ということで、今日の記事はビジネスとは直接関係はありませんが、「らしさ」に縛られると、かえって生きづらくなると思い、違った視点を紹介しました。
 
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