「売る」から「推す」へ。推し活ビジネスが導く新しい世界
先日、友人2人が主催するYoutubeチャンネルにゲスト出演し経営談義をしました。
今日のブログでは、談義の中で盛り上がった「商売は推し活」という話を皆さんと共有したいと思います。
改めて確認すれば、推し活とは、自分が好きな対象をさまざまな形で応援する活動を指します。起源は、好きなアイドルを「推し」と呼んだことにありますが、今では声優、スポーツ選手、企業など、様々なジャンルに対象が広がっているようです。
談義をした友人の1人、中塚緑さんはあるトンカツ店を推していて、しょっちゅうSNSに来店の様子を上げているのですが、それを見た知人から「今度、私を連れて行って」と言われ、何十人もの知り合いを店に送り込んでいます。
実は、僕もその1人なのですが、お店に行くと友人が推す理由が分かります。
「トンカツが美味しいから」…それは当然なのですが、それ以上の理由があるのです。
それは…
「店主自身が自分のトンカツの推し活をしているから」ということです。
実際に行くと分かりますが、自分が作ったトンカツへの思い、「絶対に食べて欲しい」という思いが、メニューからも店主の言葉からも色濃く伝わってくるのです。
当然、それを裏打ちする素材の選定や調理法があります。
店主も友人も、推しの文句が「宣伝とはまったく異質」という特徴があります。
宣伝は、常に購買という見返りを期待して行われますが、彼らの動機は「伝えずにいられない」という純粋な思いで行っているのです。
それは友人のSNSへの投稿を見れば分かります。
なんと、食べ終わったお皿の写真まで載せています(笑)しかも「皿を舐めたのか?」と聞きたくなるほどの綺麗さです。
これは友人なりの価値の伝え方ですが、一方で店主への感謝の気持ちの表明でもあります。
推し活的な商いが成立するには次の2つの要件が必要です。
1、“伝えずにいられない”ほど愛せる仕事をしていること。
2、それを伝えたい相手がいる。
これらはSNSと相性バツグンですね。推し活という概念がスマホの普及期と重なっていることも注目すべき事実だと思います。
反面教師も紹介したいと思います。
以前に、冷凍食品メーカーに勤める方にお会いしたことがあるのですが、その方は自社商品を「正直、ウチの商品は家族に食べさせられない」と評するのです。理由は、添加物が多いからですが、常にそれを売っている罪悪感を抱えながら仕事をする辛さも吐露していました。
成熟期では「何を買うか?」よりも「誰から買うか?」が購買基準になると言われています。
ますます推し活的な商いは競争力になると考えますが、そのためには、先述の2つの要件に則ることだと考えます。
最後に…
推し活的な商いの効果は経済的なものだけではありません。山口大学の研究によると、推し活には「自己肯定感」「意欲」「健康」などを高める効果があるといいますし、成蹊大学の研究では、明確に「幸福度が高まる」と結論付けています。
「売る」から「推す」へ。
視点を変えてビジネスを俯瞰してみてはいかがでしょうか。
↓あ、僕が出演したYoutubeも聞いて下さいね!音声のみなので「ながら聞き」ができます。