私たちは一体、この30年で何を失ったのか?

失われた30年と言いますが、私たちは一体何を失ったのでしょうか?
経済誌を読むと、「経済的な富」を失ったと書かれています。
賃金は他国に比べ伸びていませんし、貧富の差も開きました。

僕は、こうした目に見える損失の根っこ…根本原因に着目しています。
根っこの部分を失ったのではないかと考えているのです。

日本の経済成長は、人口増加に支えられてきました。
効率よくモノを作って、モノに飢えた生活者に対し効率よく流すことで経済が成長しました。

教育界も、こうしたことに強い人材を育てました。
基本的な読み書きそろばんができて、上が決めたことに従順に従える人材です。
五教科が重宝されたのはこうした背景からだと思います。

今は人口減少期に加え、生活者は一通りのモノを手にした成熟社会です。
お金が社会に循環することは大切ですが、以前のようにモノに飢えた時代のように消費は活性化しませんん。

以前、東洋経済オンラインの記事に「失われた40年に…」という見出しが踊っていましたが、あながち大げさな表現ではないような気がします。

モノに満たされた現代の生活者は「心の豊かさ」を求めています。

画一的なサービスではなく、心のこもった「おもてなし」
単なる製品ではなく、つくり手の思いや願いがこもったもの。
使い捨てではなく、長く使えるもの。

もし、失われたものを取り戻すとしたら、心の豊かさを創造することが大切で、世界に誇る伝統工芸が参考になると思います。

「有田焼」「箱根寄木細工」「江戸切子」「輪島塗」「信楽焼」「南部鉄器」「西陣織」「備前焼」

全国に数多くの「感性価値」の高い工芸があります。
これらは心の豊かさの時代に支持されるものばかりです。

いい器で食べると料理が美味しくなる

ものづくりの現場だけでなく、サービス業などにおいても参考になります。

感性価値の高い技芸を創造するためには、経済合理性に偏りすぎた経営を改める必要があると思います。

僕が仕事でお世話になっている都内の高級家具メーカーは、「心」を大切に経営をしています。
社長は、社員さんの心を大切にしますし、人材育成に時間も費用もかけています。
研修の会場には庭園や美術館を選びます。
研修終了後に、入館チケットを配り社員さんに美に触れる機会を作っています。
一朝一夕に育たない審美眼を、わざわざ機会を作り時間をかけて育てているのです。

私たちがこの30年で失ったものは。美学や哲学、生き方といったものなのかもしれません。

ビジネス書ばかり読んでいる場合じゃないかもよ。
(僕の新刊は読んでね!笑)

というわけで今日も素敵な1日をお過ごしください!

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