「社長の孤独が賃上げを妨げる」という誰も指摘しない本当の話

昨年、ある企業経営者が、「利益が出ていても賃上げできない理由」という匿名ブログを書き、多くの人の共感を生み、拡散されました。

そこには、一度賃上げをしたら、簡単には下げられないこと。日本の労働力の流動性の低さ(簡単に解雇できない)といった、本音が綴られていました。

僕が知る限り、社長は、社員の給料を上げたいと思っています。
昨今の物価高から社員の生活を守らねば、と思っている人がほとんどです。
離職の増加や採用への懸念も抱えています。

しかし、怖いのです。
その理由は、ブログの筆者が指摘した通りです。

業績が下がったからと言って、簡単に社員を解雇できません。
一度、上げた賃金を下げることもはばかられます。
経済が順調に伸びた時代と違い、先行きが見通せない現代では、イザという時に備え溜め込む真理になるのは自然なことです。

もう1つ、重大な原因があります。
それは、「決めるのは社長、実行は社員」という仕事の進め方です。
この進め方をすると、業績が下がった時に、社員の賃金を下げると、社員からこう言われます。

「社長が言った通りにやったのに、給料を下げられたらたまったもんじゃない。」

今は、社長にも正解が分かりません。
時代の変化も激しい。
予測不能なことも起きます。

そんな時に、意思決定が社長に集中していると大変です。

やってみなきゃ正解が分からないのだから、仕事の進め方は、「やっては、直し」「やっては、直し」のアジャイル型になります。

これを社長が主導すると、現場社員は社長がつくり出した変化に振り回され、疲弊します。
内発的なヤル気も、主体性も、創造性も発揮されません。

社長は1人で奮闘せねばならず、孤独に陥りのも無理もないことだと思います。

孤独が、賃上げを妨げているとは、こういうことなのです。

対策が必要です。
1、仕事の進め方を「参画型」にする
2、業績で賃金が変わる仕組みにする
3、賃金が業績で決まることを社員さんも理解する

参画型の組織は、高い創造性を発揮します。
創造性は付加価値を生みます。
付加価値=売上総利益が増え、賃金が上がります。

「何だか分からんが、社長が給料を上げてくれた」というのと違い、経営に主体的に関わるので、その役割に見合う賃金になっていきます。

この構図をつくることが、賃上げ問題の解決策です。

孤独や恐れを軽くする、最も現実的な方法は、「同志を増やすこと」だと考えます。

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