賃上げムードに安易に乗ると企業の活力を落とす、これだけの理由

かつてなく賃上げムードが高まっています。
ユニクロやイオンが他社に先駆けて、大胆な賃上げを行うと発表しました。その後、何社もの大企業が、続々と「賃上げ宣言」を行いました。

日本は、20年以上の期間に渡り、賃金が上がっていません。政府は、何が何でも、一時的にでも成果を出そうと、あらゆる手を尽くすと思います。
このムードはさらに高まると思います。

しかし、不安が先行する時代では、賃上げをしても、消費よりも貯蓄に回る比率が高く、お金が循環しないという指摘もあります。
それがどうなるかは、やってみないと分かりませんが、間違いなく言えることは、お金が循環しても、これだけモノが溢れた時代では、付加価値の高い商品、サービスを提供しなければ、お金は使ってもらえないということです。

生活者に「こういうものが欲しかったの〜」と言わせる商いをしないと、世の中にお金が回っても使ってもらえません。
企業側が頑張らないと、賃上げは空振りに終わる危険性があります。

それどころか、中小企業がこのムードに乗って安易な賃上げをすると、企業力が削がれてしまいます。

まず、賃金を上げても社員さんのヤル気は変わりません。一瞬だけ上がって、すぐに元に戻ります。固定費が増大するだけです。
さらに、賃上げを、ニンジンをぶら下げる発想で使うと、かえって社員さんの自発性と創造性が低下することが、数々の心理学の実証実験で分かっています。
※この件に関しては、この記事を参考にしてね!
「社員のヤル気を刺激するために導入された賃金制度が上手く行かないワケ」

これらは、実際に僕が経験したことです。

そもそも、賃上げは「結果」「現象」です。
お客様に支持される、良い仕事をした結果、売上総利益が上がるという現象が起こり、賃金が上がるという現象が起こります。
現象面に手を付けるのは対処療法です。
不健康な体質が根本原因で風邪をひき、咳が出ている場合に、咳止め薬を飲むようなもの。
一時的な措置としては大切ですが、長期視点に立ち体質改善をしなくちゃいけません。

まさに、企業は体質改善が求められています。
大量生産・大量消費の時代の体質から、成熟社会に合った体質に変わらなくちゃいけない。
それは、付加価値が高く、生活者に「こういうものが欲しかったの〜」と言わせる商品・サービスを生み出す創造性を備えた組織づくり、風土です。

社員さんが、仕事にワクワク取り組み、仕事から喜びを感じられる風土です。

□自分で決めることができる。
□仲間と良好な人間関係をつくり、チームワークで協働する
□自分の居場所がある。
□お客様や社内の仲間に貢献している実感がある。
□成長実感がある。

仕事から喜びを得られる風土づくりは、儲けるための手段ではなく、人が幸せな人生を送る上で大切なことであり、「目的」だと、僕は思っています。
手段と捉えたら、風土づくりなんていう、面倒なことはしません。もっと手っ取り早く儲ける手段は他にもあるからです。

今の賃上げムードは、私たちに、これからどの方向性に舵を切るか、選択を迫っているような気がするのです。

今日の記事の内容は、春以降に出る、僕の新刊のメインテーマです。
ぜひ、そちらもお楽しみに。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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