その愛情は、注げば注ぐほど、相手をダメにしていく

親は子どもに自立を願いますが、実は、子どもの自立を一番妨げているのは親です。
子どもが自分で考えなければいけない事なのに、代わりに考えてしまったり、代わりにやってあげてしまうのです。
これは、国家ぐるみで行われているのではないかと思うほど深刻です。

僕はPTAの会長を務めたことがあります。
ある時、教育委員会と県PTAの合同会合で、子どものLINE問題について話し合いました。
LINEにまつわるトラブルが社会問題になっていた時期で、その対策について話し合われました。
「子どもの安全のために」がテーマだったと思います。

僕は、会議の途中から大きな違和感を感じていました。
その正体が分かったのは、会議終了10分前です。
この場に、当事者である子どもたちがいないことが違和感の正体だったのです。

人は、自分が参画しないと自分事になりません。
自分事にならないと行動は変わりません。
LINE問題で、大人が考えなければいけないのは、具体的な解決策ではなく、子どもたちが自分たちで解決策を考えられる環境づくりです。

「子供のため」という、その愛情は、子どもをダメにするのです。

僕の町内会では、6年生が主体になり、地区PTAの年間行事を決めています。
もう15年も前のことですが、僕が、その会議の見守り役になったことがあります。

そこで僕は、ある実験をしました。
大人がお膳立てをしなくて、自分たちで決められるか?という実験です。
上手くいかなかったら、従来どおりのお膳立てをすれば良いだけだから、挑戦してみることにしました。
他の親には控室で待ってもらいました。

会議の冒頭で、僕は、「自分たちのことなのだから、自分たちで決めてください。会議の終了は16時です。困った時は相談してくれ。」とだけ伝えました。
会議時間は1時間です。

スタートした瞬間に、ある子が「どうやって話し合えば良いですか?」と質問をしてきました。
僕は、「その質問は、みんなにしたらどうか?」と言いました。

話し合いの方法を決める話が始まりました。

行事は、基本的に毎年同じなので、行事の確認と、担当者を決めるだけです。立候補をすれば20分で決まります。
しかし、決まらないんですね。

残り15分を切った時に、ある子が「もし時間までに決まらなかったら、どうすれば良いですか?」と聞いてきました。
僕は、「もし、そうなったら、どうするかを自分たちで決めて下さい」と言いました。

この時点で、初めて子どもたちは気付きました。

「このオッサンは、本当に何もしないつもりだ」と。

急に会議が活性化しました。
15時58分に、終了2分前にスケジュールと担当が決まりました。
みんな、清々しい顔をしていました。

僕は、「ご苦労さま」とだけ言いました。
それ以上、言う必要がないくらい、充実した表情だったからです。

僕は思ったのです。
子どもたちの充実した笑顔は、人間は自分で決めることが好きな生き物であることの証明なのだと。

お膳立てをされているのは子どもだけではありません。
大人が大人をお膳立てしているのが会社という組織です。

自分で決めるから自分事になる。
自分事になると愉しくなる。
愉しいと良いアイデアが出る。
良いアイデアは、誰かに幸せを届ける。
誰かを幸せにしたという実感は、自分を幸せにする。

人間にとって大好きなことを奪わない方が、経営は上手くいくのではないかと思うのです。

【読者登録してね!】

・読者限定セミナーのお知らせやブログの更新情報が届きます。
・外部機関が主催するセミナーで無料~3000円ほどでご参加いただけます。※一般に公募するとあっという間に満席になるので読者限定でお知らせすることにしました。

↓読者登録はこちらから
https://www.shijizero.jp/registration