一人前は、相手を一人前として扱う人のもとで育つ

全部、お膳立てするから人が育たない

リーダーであればメンバー1人1人に自立を願うと思います。
しかし、子どものころから自立の訓練を受けない人も多いのが現実だと思います。

自分から積極的に課題を見つけに行こうとしない…
自分で考えずに、何かあると、どうやったら良いですか?と聞いてくる…
何か問題が起きると他人のせいにする…
こうした行動はどんな職場でも見られる光景だと思います。

しかしながら社員がいつまで経っても自立しない原因は、社員の側ではなくリーダーの関わり方に原因があると思います。

言わないとやらないから言ってしまう。
自分で課題を見つけないから代わりに出す。
他人のせいにできてしまう状況をつくっている…
新人の頃はしょうがないにせよ、いつまでもこれをやっていたら自立は望めないと考えます。

いつまでもお膳立てをしないことが大切だと思うのです。

この件を僕が考えるようになった、ある出来事があります。
それはPTAの役員をやった時です。
ある会合で「子どものLINEの使い方」の問題が取り上げられました。
犯罪に巻き込まれるケースが頻発したのを受けての緊急会議でした。

2時間以上の長い会議でしたが、僕は途中からずっと違和感を感じていました。
こう言っては失礼ですが、熱心に話し合っている姿がアホらしくなったのです(すみません…)
最後の最後に違和感の原因が分かりました。

それは「この場に当事者である子どもが1人もいない」ということ。
子どもたちにとっての問題にも関わらず、そこに参画していないのです。
参画して自分で考えないから自分事になるはずがないと思ったのです。

相手を一人前として見れる人には、人間への信頼がある

僕は以前にメンターに言われたことがあります。
「一人前を育てたかったら、相手を一人前として扱うことだ」
僕が「一人前として扱うとはどういう事ですか?」と聞いたら、「自分で考えなさい」とピシャリと言われました。

その後、僕なりに考えた「一人前の育て方」を職場で実践して、メンターに報告しました。
メンターは「それで部下はどうなった?」と聞くだけでした。
上手く行っていない報告をする時は「ほう、改善しなきゃだね」と言うだけ。

そんなやりとりを繰り返し、僕はメンターの接し方に秘訣があると察しました。
メンターは答えを教えずに僕に考えさせました。
報告をすると「で、どうなった?」と聞きました。
上手く行っていないと「変えなきゃだな」と言う。
上手く行くと「続けてみたら?」と言う。

「自分で考え行動する」→「その結果を振り返る」→「次に活かす」
この繰り返しを促していたのです。

一人前の育て方をある程度理解した時に、はたとある疑問が生まれました。
それは、「僕のケースは、僕に課題解決の意欲があったから自分で考えたけど、そうじゃないケースで通用するのか?」という疑問です。

つまり、僕に意欲がなく問題を放置した場合です。
どうなるか?
問題が大きくなる一方です。
夏休みの宿題をため込んだ子どものようです。
しかし、ほとんどの子どもが3日前に本腰を入れるように、ピンチになったら動き出すと思ったのです。

つまり、自分が招いた問題を自分で直面させること…これも一人前として扱うということだと考えたのです。

厳しい接し方だとは思いますが、僕はメンターの深い愛を知っています。
その愛は、「人間は大丈夫」という信頼の表れです。

一人前は、相手を一人前として扱う人のもとで育つ…とても奥の深いことだと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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