問題社員に悩むリーダーは、まったく別の視点を持てば悩みが解決する

どんな企業にも問題社員はいると思います。
僕がこれまで相談を受けた中にも、ポカミスが多いのに仲間や上司に助けを求めない、輪に入ってこない、積極性がなくいつも他人事など、様々な問題社員の話を聞いてきました。

リーダーは本人を指導するのですが、指導をすると責められたと勘違いし傷ついてしまう、あるいは反抗的な態度を取る…もうお手上げ、そんな相談も結構あります。

そんな部下はどう指導すれば良いのか?
僕は、本人ではなく周りの部下に解決の鍵があると考えています。

いじめがなくなるかどうか?は傍観者の数で決まる

指示ゼロ経営では個々の部下ではなく集団に関わります。
本人を変えるのではなく周りの人を変えます。
僕がこの考え方に出会ったのは、1冊の書籍でした。
その中に、学校で起きるいじめを題材に人間の集団を研究している学者の論文が載っていました。

いじめが起きるクラスとそうでないクラスの違いを調べたところ「傍観者の数」に違いがあることが分かりました。
いじめが多いクラスは傍観者が多い、少ないクラスは傍観せずにいじめを止める人が多いのです。

いじめを行っている当事者ではなく、その周りの人に解決の糸口があるというわけです。

教師が当事者を注意すると、教師がいる間はいじめをしないが、いないとしてしまう可能性があります。
また、バレないように陰湿化することもある。
さらに、指導に成功して止めてくれたとしても、別の子どもが始めるかもしれません。
教員はモグラ叩きのような毎日を送ることになります。

本人ではなく周りを変えるとはこういうことです。

傍観者が少ないクラスを作る教員は、常に子どもたちにメッセージを投げかけます。
「いじめがあるクラスでは安心して学校生活を送ることはできない」「勉強に集中できない」
「いじめをなくすことは本人だけでなく全員のためだ」

いじめの病巣があるクラスにいたら、いつか自分がいじめられる側になるかもしれません。
この事が理解されれば傍観をやめいじめを止める人が出ます。
そして、その数が一定割合を超えるとクラスの文化になります。

本人ではなく周りの社員が解決の糸口を持っている

さて、話を職場に戻します。
いじめの事例と同じ要領で問題社員をケアすることができます。

例えば、ポカミスが多いのに仲間や上司に助けを求めない部下の場合、助けを求められなくても周りが声がけして助ければ良いのです。
それは誰のためか?
全員のためです。
仲間を助けることを損だと思う人もいますが、そんなことはありません。
自分が助けを必要とする場面も必ずあるからです。

これが文化になると、これまでが嘘のように問題が少なくなります。
問題が起きても誰かがカバーするのでチームは自信を持って色んなことに挑戦できるようになります。

「ウチのチームのAさんは、いつも輪に入ってこない」という悩みを抱えるリーダーがいます。
リーダーがそう悩んだ瞬間に問題が問題として認識されます。
周りの部下も、それを問題と捉えるようになります。
問題社員は、実は周りの認識で作られるのです。

この場合、輪を大きく描けば良いだけです。
描く輪が小さいから「入ってこいない」となってしまう。
積極的に濃い関係を築く人ばかりではありません。彼らは周りが描く輪が小さいことで仲間外れにされてしまうのです。

さて、ここからが素晴らしいチームの始まりです。
社会心理学の世界に「返報性」という概念があります。
人は、自分が受けたことと同じようなことを相手に返すという原則です。
支援には支援を。
攻撃には攻撃を…
社会はこうして成立していると言わています。

助けられた人は、いつか自分ができることで仲間を助けます。
逆に仲間はずれにされた人は、いつかの機会に仲間はずれを行います。

仲間を助けることは道徳の話ではなく究極の損得であり、これをメンバーが理解すると問題社員は皆無になります。

リーダーはこの事実をメンバーと共有して一緒に考えることが大切だと考えます。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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