指示ゼロ経営の安全な導入法3ステップ

指示ゼロ経営(自律型組織)を導入したいけど、何から始めれば良いか分からない…そんな声をよく聞きます。
指示ゼロ経営は「環境設定」に全てがかかっています。
ちゃんとした環境設定ができていれば「なる」もの。

今日は、導入に際し、どんな手順で環境設定をしたら良いか?を考えたいと思います。

まずは何をもってしても「なぜ」を確認する

指示ゼロ経営は手段であって目的ではありません。
「なにを」「どのように」やるか?は後の話で、まず最初に確認すべきは「なぜ、指示ゼロ経営にするのか?」です。

これをナメたらいけません。
よく「時代の変化が激しいから」「顧客の欲求が多様化しているから」と言った理由を上げる人がいます。
それは正しいのですが、それだけでは部下は「ふ〜ん」で終わってしまいます。
もっと、心の内面に入ってくる言葉が聞きたい、部下はそう思っています。

それは何か?
「社長1人の力では限界だから」ではないでしょうか?
アイデアを出すのも、顧客の多様な欲求に応えるのも、社長1人の力では立ち行かなくなっている、これが真実だと思います。
でも、これは社長にとっては負けを認めることになるので、なかなか言えないですよね?

しかし、弱さを開示した人には応援者が現れます。
最初は1人か2人かもしれませんが、それが伝播していくと組織は素晴らしく自律的に動き始めます。

社員を動かす、ではなく「動きたくなる」環境設定です。

社員にとって素晴らしい世界だということを確認する

指示ゼロ経営は社長1人の手で作れるものではありません。
そもそも「自律型」ですので、社長の手でつくられたものは自律的とは呼べませんよね?

社員が「そうしたい」と思った時に「なる」そんな世界です。

社員さんにとっての指示ゼロ経営の最大の魅力は「世界で一番、魅力的な会社を自分たちの手で創ることができる」です。
労働条件、ビジョン、ビジネスモデル、賃金…など、様々な意思決定に参画できるので、誰か1人にとって都合が良いものではなく、自分の人生にとって意義あるものを創ることができ、これが導入の動機になるのです。

そもそも、社員さん(社長も)は自分の人生を豊かにしたくて仕事をしています。
会社のキャッシュを最大化するために働いているわけではありません。

ある人は、子どもの夢のためにと思っている。
ある人は、昔、俺をバカにしたヤツをギャフンと言わせたい、またある人は、自分の個性を活かして社会に貢献したいと考えている…

色んな思いや望みを持った人間が集まったのが会社です。
しかし、みんながバラバラ好き勝手やっていたら組織が成功せず、結果的に誰の望みも叶いません。

だから、変化が激しい時代において、社長の限界を超えた知恵と行動力を発揮する自律型組織を創り、最高の共創をするわけです。

それは社長のためでも会社のためでもなく「本人」のためです。
楽ではないが愉しい。
これが真に理解されると動き出す社員が出るはずです。

難しい課題ではなく身の回りの関心事から始める

環境設定ができたら、できるだけ早く何かに取り組んでもらいたいところです。
ここにも大きな落とし穴があります。

社長は会社の業績に直結することに着手して欲しいと考えると思います。
でも、最初のうちは、それは社員さんの最大の関心事ではないことが多い、最初のうちは。
たまに「業績に繋がること限定」とやる方がいますが、そもそも、そのやり方が自律型組織ではありませんよね?

社員さんにとっての関心事は、最初のうちは「働きやすさ」である事が多いです。
例えば、公正な休日ローテーションの作成、残業削減、有給休暇取得、そういった身の回りのことです。

まずはここから始める。
同じ望みを持つ仲間数人でチームを創り、三人寄れば文殊の知恵で様々な課題を解決してもらいます。
好き勝手にならないように、会社全体のことを考えてもらいます。
これに関しては僕の書籍「リーダーが『何もしない』とうまくいく 指示ゼロ経営」の219ページからの「自由と好き勝手をはき違える部下」の部分を読みください。

人は関係性の生き物なので、仲間とやると愉しさを感じます。

指示ゼロ経営の成功体験を積んでもらうことです。

自分たちの手で会社を良くすることができる、この魅力を味わうと、社員は会社を大切に思い、必然的に会社を自分事と捉えるようになります。
こうなると、言われなくても会社の業績を気にするようになります。

ここからが業績向上のたくらみを、社員さんが参画して行う段階です。

指示ゼロ経営の要諦は環境設定です。
それは一朝一夕に成せるものではありません。

徐々に、1つづつ、そしてやる度に加速的に組織が成長していくのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

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