社員の自立と自発性を促す賃金の出し方

賃金の出し方で社員の成長が促されもするし阻害されることもあります。

上手な社長は、賃金を社員をコントロールするために使っていません。
「ニンジンをぶら下げて走らせる」という発想ではない。

社員を一人前の成熟した大人として見て、賃金は大人同志の約束事として位置付けています。

今日の記事は、社員の自立と自発性が伸びる賃金の出し方について書きますね。

賃金を社長の武器にすると社員の創造性は破壊される

「アメとムチを使い分け社員を動かす」
ビジネス界はこの方法で100年以上やってきました。
科学的経営管理法の基本は「人は快を求め不快を避ける」です。

とても合理的な考え方だと思いますが、この方法を取ると社員はコントロールの抑圧を感じながら仕事をすることになります。
そのうっぷんがムチへの反抗や「アメをもっと出せ」といった要求などで吐き出されます。

さらに、常に目先の恐怖からの回避、目先の利益の獲得が動機になりますので、思考が短絡化して創造性は発揮されなくなります。
この事をもう少し詳しく知りたい方はこの記事を御覧ください。
「報酬でコントロールすると、創造的な仕事ができなくなる」

アメとムチの使い分けは単純作業には有効ですが、クリエイティブな仕事には向きません。
創造性を発揮して欲しいと望むなら、賃金を武器にしないことです。

賃金は「制度として、そこにある」くらいの存在感がいい

人のヤル気には「外部から刺激されるヤル気」と「自分の中から湧き上がるヤル気」があります。アメとムチの世界は前者です。

後者は「やりたいから、やっている」という世界です。

「仕事に意義を感じる」
「自分の個性が活かせる」
「自分で決められる事が多い」

仕事の行為自体から喜びを感じることできますので、高い創造性を発揮します。

内発的なヤル気が湧き上がるためには仕事の環境を魅力的なものに変える必要があります。
では、賃金の捉え方はどうすれば良いか?という話です。

賃金が社長の武器でないということは「制度として、そこにある」くらいの存在感が理想だと考えます。

ルールで決められている。

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よく「儲かったらその分社員に還元する」と言う社長がいますが、どれだけ儲かればどのくらい増えるのかが分からなければイヤですよね?
「評価は社長の胸三寸」では社員は自立しようがありません。

ルール決めは粗利益から算出するのが合理的です。
粗利益は事業を走らせるガソリンみたいなものです。
人件費も販売費も、そこから出る。

だから粗利益の◯◯%が社員の人件費という基本設定が大切です。

さらに、そこに最終純利益からの還元があります。
純利益から法人税が差し引かれ、残ったものから返済金と株主の配当金が支払われ、残りが内部留保にまわされます。

必要以上にストックしてもしょうがないので、社員に特別賞与を出すのです。

「制度として、そこにある」という一例です。

社員を一人前の成熟した大人として見るから自立する。
そにためには誰が見ても分かる、客観的なフィードバック…つまり決算書の公開が必要です。

賃金を社長の武器にしないことです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。