「管理職になりたくない人77%」の問題にどう向き合うか?

日本人は「指示命令に従い、集団でタスクを積み重ねる」という意味では「集団行動ができる」と評価することができますが「チームワークを形成し創造活動をする」という意味では、まったくもって苦手だと思います。

これは教育の結果です。
今の教育制度は、およそ150年前にできたものです。
それまでは大工の子は大工になるというのが慣例でしたが、国際化に伴い、職業の多様化に対応する必要に迫られました。そこで、産業界が「基本的な読み書きそろばんができ従順な人材」を求めたことから、現代教育が始まりました。
今の日本人のほぼ100%がその教育で育ちました。

その証拠に、子どもが学校から帰ってくると「いい子で先生の言うことを聞いていた?」と聞く親が多いですよね。

こうした教育で育った人材は大量生産のシステムに適しており、日本の高度経済成長を支えたのでした。
しかし、ひと通りの豊かさを手にし、生活者が求める価値が、モノの豊かさから心の豊かさに移行した今、状況は一変し「創造活動」が求められるようになりました。

組織的な創造活動の術を学んでいないので、急に「やれ」と言われてもできるはずがありません。
「教育は国家100年の計」と言いますが、時代の変遷に対応しなかったツケは大きいと思います。

では、誰が組織的な創造活動を教えればよいのでしょうか。
小学校は「中学校で教えれば良い」と言う。中学校は「高校が」と。高校は「大学が」と。大学は「企業が」とたらい回しをしている状態です。

ということは、企業がやるしかありません。
本当は、もっと感性が柔らかい若い時期にやるべきなのですがね。

企業で育成するためには、組織的な創造活動に必要な要件を知ることが大切です。
大まかに整理すると、次の5つの要件が必要になります。

1、人間関係性の質を高める。
2、ビジョンを描きメンバーと共有する。
3、チームで文殊の知恵を出す。
4、計画づくり。
5、PDCAの管理。

勘の鋭い方はお気づきだと思いますが、これまで、これら5つはリーダーに要求された能力です。
ところが、正解がなく変化が激しい時代において、これらすべてを背負えるリーダーは稀です。
加え、今は、現場で実務を行いながらチームのマネジメントを行うプレイングマネージャーが多いので、なおさら無理というものです。

日本能率協会の調査によると、管理職になりたがらない人が77%にのぼることが明らかになりました。
先日、NHKのクローズアップ現代で「管理職を救え」と題し、この問題を特集していました。その中で、解決策の1つとして「リーダーの役割を分散する」という方法を提案していました。
まさに、指示ゼロ経営ですが、上手にやれば「ビジョンを描きメンバーと共有する」以外の要件を分散することができます。

かつては、正解があって、それに向かって皆で進めば良かった。
それが、今は、正解のない問いに向き合い、チームで考え、試行錯誤を繰り返す力が問われています。
時代が変わればリーダーシップも変わる。
リーダー依存に終止符を打ち、チーム全体で知恵を出し協働する組織づくりこそが、これからの時代を切り拓く鍵になるのではないでしょうか。
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