待遇より「未来地図」を語れ…中小企業が生き残る“採用と定着”の本質
人手不足に悩む企業が増えていますが、その実態を「東京商工リサーチ」のデータから読み解くと、想像以上に深刻であることが分かりました。
下の表は「人手不足が原因の倒産件数」を表しています。ちなみに、倒産原因は「求人難」「退職者の増加」「人件費高騰」の3つが主因です。
人件費高騰とは、離職・採用対策で賃上げをしたことによる負担で倒産したということです。
2025年は1月〜6月で172件、過去最悪を更新することが確実なペースです。
この傾向は、決して悪いことではなく、生産性の低い企業が淘汰されることで、社会全体の経済力を引き上げる効果があると考えられています。
とは言っても、企業にとっては大変なことです。
企業はどのような対策をすべきでしょうか。
人手不足の対策といえば「いかに採用を増やすか?」に意識が向きがちですが、そもそも人手不足は入社よりも退職が多いことで起きますので、まずは退職…「出」を減らすことが重要です。
出が多い状態で入を増やしても、ザルで水をすくうようなもの。
このように言うと「そんな悠長なことは言っていられない。すぐにでも採用を増やさなきゃいけない」と言う方がいます。本当にその通りだと思います。
なので、僕は「出」を減らすことと「入」を増やすことを同時に行う方法を提唱しているのです。
「出」を減らすということは、社員さんに「この会社で働き続けたい」と思ってもらえるような魅力的な会社になることです。
その魅力をもってして「入」を増やすのです。
こう言うと「魅力的な会社になるまでには時間がかかる。そんな悠長なことを言っていられないと言ったでしょ」と反論する方がいますが大丈夫です。
今、そういう会社になっていなくても、魅力的なビジョンを描き、既存社員を巻き込むとともに「それを実現する同志を募集します」と求人を仕掛けるのです。
では「魅力的」とはどういうことでしょうか。
企業の魅力は「待遇」と「働き甲斐」に大別することができます。
「待遇」
具体例:賃金や福利厚生、職場環境など。
特徴:不満足を防止できるが、満足度を高めることにはつながらない。改善すると一時的にモチベーションが高まるが、すぐに「あって当たり前」になる。
「働き甲斐」
具体例:承認、仕事を任せられていること、仕事そのものの愉しさや達成感、成長実感など。
特徴:持続したモチベーションが自家発電される。
どちらが企業の活力を生むかは自明ですね。
待遇面だけを改善すると、今後、淘汰される側になる危険性があるということです。
今、働き甲斐を求める人が増えています。
その表れの1つが「ゆるブラック企業」の退職者の増加です。「ゆるブラック企業」とは、待遇が良く、一見すると働きやすい環境があるものの、自己成長やキャリアアップが見込めない企業を指します。
また、お金のために我慢する働き方に嫌気が差している人も増えており、働き甲斐を求める人は増加トレンドにあります。
ところが、世の中の求人広告の多くは待遇しか書かれておらず、働き甲斐を求める人と繋がらないのです。
これは逆に言うと、働き甲斐にフォーカスした求人広告を出せば、希少な「穴場」になるということです。
求人広告には、「働き甲斐ある仕事です!」なんていうぼやけたメッセージではなく、リアルなイメージが湧く、切れ味鋭い訴求が必要です。
素晴らしい事例として、僕の著書「賃金が上がる!指示ゼロ経営」で事例紹介した、名和株式会社のウェブサイトを紹介します。
本当に「いい会社」を考え抜いた人だからこその圧巻のメッセージですね。
繰り返しになりますが、今、そういう会社になっていなくても、目指す意志…「未来地図」があれば良いのです。
希望がある会社には、社員は居続けてくれるし、入社を望む人も増えます。
簡単ではありませんが、これが中小企業の人手不足を解決する王道、ひいては企業繁栄の哲理であると考えています。
さて、ここでご紹介したのは、僕が「採用術セミナー」でお伝えしている内容の一部です。
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