効率化によって生まれた「ゆとり」は非効率な事に使う。

合理化、効率化をすると、時間的なゆとりが生まれますが、ゆとりは何に使うのが良いでしょうか。
考え方は人それぞれだと思いますが、僕は「非効率」なことに使うことをお勧めしています。

「せっかく効率化したのになんで?」と思われるかもしれません。しかし、非効率は付加価値を高めるために欠かせないものなのです。

どういうことか説明しますね。
企業の競争力は簡単にお金では買えません。簡単にお金で変えるものは誰もが手にできるため差別化にはならないからです。
ケーキ屋さんで言えば、ケーキの原料はお金を払えば誰でも買えますが、それを美味しいケーキに加工するためには、発想力や技術、生産の仕組みなどの創造性が必要になります。創造性は試行錯誤を繰り返し編み出すものなので簡単に真似はできません。

このことを公式化すると次のようになります。

「原材料+創造性(付加価値)=独自性の高い製品・サービス」

文明的な生活をひと通り手に入れた現代人は、良い意味で無駄なこと…文化を愛するようになりました。それを提供できる人は、自身も文化に触れている人だと思います。

競争力の源泉である創造性は人間の専売特許ですが、非常に可変性が高く不安定な上に醸成に時間がかかるので、手塩にかけて育てていかなければなりません。

手塩にかけるという行為を「冗長性」(じょうちょうせい)と言います。余分なものや重複がある非効率な行為を意味します。

例えばメールのやりとりで「OK」→「了解」→「承知しました」→「ありがとうございます。承知いたしました」と、文字が多くなる(冗長性が増す)ほどに真心がこもります。

プレゼントは冗長性の代表格です。プレゼントは単なる「物を贈る行為」ではありません。
プレゼントの価値は、相手のことを思う時間や手間=冗長性にあります。
ネットで簡単に買うよりも、お店に行き、店員さんに相談して買った方が有り難みが増すのです。
だから贈られたものを失くしたら罪悪感を感じるのです。自分で買い直しても決して同じものにはなりませんからね。
つまり、本当に大切なものはお金では買えないということです。

非効率が付加価値を高めるとはこういうことです。

このように人間は、冗長性が高いものに愛着やロイヤリティを感じる。
この原則に則れば人材育成の秘訣が観えてきます。本当に人を育てたければ、会社に愛着を感じて欲しければ、人間関係を醸成したければ、創造性を育てたければ、手塩にかける必要があるわけです。

勿論、何でも手間暇をかければ良いというものではなくポイントを見極めることが大切です。

冗長性を大切にしている企業では、社員との対話の時間を重視します。
効率至上主義者が見れば「単なる情報なのだからメールで十分じゃない?」と思うかもしれませんね。
しかし、わざわざ対面で伝えるから情報価値が増し、ロイヤリティやモチベーションが向上するのです。

先ほどの公式に当てはめると…

「情報(原材料)+対話(付加価値)=ロイヤリティ&モチベーション向上」

ということになります。

手間がかかる面倒なことに実は価値があるということです。

僕が、効率化によって生み出されたゆとりは、非効率(冗長性)に使うことをお勧めするのはこのような理由なのです。
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