文明か、文化か──サイゼと町中華の活況に見る“選ばれる価値”

「町中華」という言葉をご存知でしょうか。
地域に根ざした個人経営の中華料理店を指すのですが、これが今、脚光を浴びているようです。
あなたの街にも「なぜか気になるあの店」ありますよね。

外食産業は1970年以降、ファミレスなど大手が急成長し、地域の飲食店は脅威にさらされました。町中華は、そんな中にありながらも「家族経営による人件費抑制」「住居兼店舗によるコスト抑制」といった要因で、なんとか生き延びてきました。
そして、時代が一周し、大手にはない独自性やノスタルジーが生活者の心を掴み、再び脚光を浴びているということです。

僕は、このトレンドに大賛成です。
その理由は、地域に個性が復活するからです。
高度経済成長期以降、大手の進出により都市部と地方のサービス格差は縮小しましたが、全国どこに行っても同じ風景になってしまいました。
特に、幹線道路沿いなどは、どの街か区別がつかないほど画一化されました。

便利なのですが、僕には、その風景…「文明的ではあるが文化的ではない風景」が美しくないと感じてしまうのです。

中華料理店に限りませんが、町の小さな企業が活躍することで、個性豊かなで文化的な地域創生が実現すると思うと嬉しくなるのです。

こうしたトレンドの転換は、生活者の消費感性の変化が大きく影響しています。
僕は、文明化が急進展した時代を生き、その変遷をリアルに体験してきました。
中学生の時に、初めて行ったファミレスは、本当に「夢の食堂」でした。お店は綺麗だし、何でもあるし、接客は洗練されている。
しょっちゅう親に「ファミレスに行きたい」とおねだりしたことを覚えています。

それが今は、「ファミレスでいいか」という言葉に変わりました。お目当てのレストランが予約で埋まっていることが多く、最後の妥協として選ぶのは僕だけではないと思います。お目当てのレストランとは、小さく文化的な「エモい」お店です。

製品・サービスの価値には「機能的価値」と「感性価値」があります。前者は文明化に貢献し、後者は文化に貢献します。
機能的価値はコストと機能の相関関係を定量化することができます。当然、スケールメリットが活きる大企業が強いということになりますし、検索エンジンをGoogleが独占したように「勝者がすべてをかっさらう」という寡占化が起こります。

対し、感性価値の市場は多様でニッチですので、大手が入り込めず中小企業が活躍します。

両者の特徴を整理すると、次のようになります。

文明的価値の領域に「正解探しの活動」が、文化的価値に「衝動に基づく活動」がありますね。
文明化は大多数が求めるものなので市場調査が有効なのですが、調査が優れていればいるほど「同じ正解」にたどり着きます。だから競争が激化し寡占化が起きるわけです。

対し、文化的価値は「これを表現したい」という作り手の想いや趣向が色濃く反映されます。だから、プロとしてその価値を顧客に教える必要があるので、分かりやすくするため「顧客は弟子」と表現しているのです。

今、ビジネスは二極化が進んでいて、中途半端な企業の撤退が相次いでいます。
ファミレス自体が中途半端な感は否めませんが、その中でもサイゼリヤとロイヤルホストが好調で、それ以外は不調です。

文明的な便利さも文化的な豊かさも、生活者に両方が大切なのですが、その提供者は二極化が進んでいます。
あなたはどちらを選択しますでしょうか。
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