「すぐ成果」を手放す勇気。時間がかかることを積み重ねる企業が勝つ理由

世の中に出回っている「すぐ痩せる」「3年で10万円が1000万円に」「90日で儲かる会社になる」といった「すぐ系」の広告を見る度に、人は「早く成果が出るもの」が大好きなんだなぁだと痛感します。

しかし、すぐに変わるものは、すぐに元に戻ってしまうという宿命を負っています。3日で痩せる=3日で元に戻てしまうのです。

加え、すぐに身につくものは、誰でも身につけることができるため競争力になりません。
だから僕は、自分のコンテンツにおいて「すぐに変わるもの」を扱わないのです。
秘伝のタレは、長い時間をかけ、気が遠くなるような試行錯誤を重ねて作るものだからこそ、独自性を育むと考えるからです。

僕は、何も無条件に時間をかけることをお勧めしているわけではありません。大切なことほど時間がかかるもので、それを着実に積み重ねることを推奨しているのです。

では、企業経営において「時間がかかる大事」にはどんなものがあるでしょうか。
今日は、企業繁栄に欠かせない2つの要件について考えたいと思います。
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❚ 簡単にコピーできないもの

生活者の購買は、日々の生活を営むための「ケの買い物」と、暮らしを彩るための「ハレの買い物」に大別されます。前者はマスを相手にするので大企業が得意とし、必然的に価格競争が激化し寡占化します。
対し、後者はニッチで多様なので中小企業な得意な市場と言えます。

例えば、我が家では「ケの買い物」は大手スーパーに行きますが、週末にちょっといい物を食べたい時…「ハレの買い物」は地元の魚屋さんに行きます。

両者は売り方もまったく異ります。
「ケ」は商品を効率よく流通させることが課題になりますし、「ハレ」は作り手・売り手の想いを効果的に伝達する「エモさ」が課題になります。

よって、競争力の醸成にかかる時間も異ります。
「ケ」はコピーしやすいので、あっという間に類似品が出回りますが、「ハレ」は、作り手・売り手の「想いの発信」の蓄積が要るので時間がかかります。

例えば、i phoneによく似たデザインのスマホが数多くありますよね。
デザインは比較的簡単にコピーできますが、創業者の想いと圧倒的な情報発信の蓄積は真似ができません。
その、簡単にコピーができなもの=顧客からの信頼と共感が今日のAppleの競争力を醸成しています。
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❚ 組織風土は時間をかけて変容する

組織風土も醸成に時間がかかります。
組織の所属員1人1人の一挙手一投足の積み重ねで醸成が進むわけですが、その進み方の法則を知ることで焦らずに続けることができると思います。

組織風土を変えようと奮闘する経営者から「なかなか賛同者が増えずに辛い」という相談を受けますが、そもそも「時間がかかるもの」なのです。

コペルニクスが提唱した「地動説」が世間に受け入れられるまでには、なんと100年以上の時間がかかっています。
つまり、古い人間があの世に旅立ってから変わったということです。

新しい物事が受け入れられムーブメントが起きるかどうかは「採用者の比率」で決まります。採用者がある比率を超えると、一気に全体に広がるのです。
下の表は、国内におけるインターネットの普及率をグラフ化したものです。(総務省「通信利用動向調査」)見ていただくと1999年くらいから急激に増加していることが分かりますね。

地動説は、否定派があの世に旅立ったことで、採用者の比率が閾値を超え、新定番として社会に根づいたということです。

実は比率(閾値)は20%ほどだと言われてます。つまり80%が否定しても十分に可能性があるということです。
そう考えると、焦らずに取り組めるのではないでしょうか。

世の中、「秒速で痩せる」「朝起きたら社長になってた」みたいな話が飛び交いますが、現実はそんなに軽やかじゃありません。
秘伝のタレも組織も、しっかり熟成させなければコクが出ません。時間がかかるからこそ深みが出ますし、簡単にマネできないからこそ価値がある。
大切なものほど、じっくりコトコト煮込んでいくことが大切だと思います。
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   時間をかけて組織を育てましょう。

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