社長と同じように会社を思う社員が欲しければ「統合の経営」をせよ

多くの経営者の悩みに「社員の他人事」があると思います。
会社の業績に関心がない、責任感に欠ける、ルールを守らないなどです。
なぜそうなるのかと言えば、それは「関心がないから」だと思います。
なぜ関心がないかと言えば、そこに「分離」があるからだと考えます。

例えば、経営が「考えて」社員が「実行する」といった分離です。
これからの経営は「分離」から「統合」になると考えています。
そうすれば社長と同じように会社を、仕事を、業績を考えるようになるはずです。

今日は「統合の経営」について考えたいと思います。

成熟社会には社員を頭脳と見る経営が求められる

分離の経営は100年以上前に始まりました。
戦略は経営者が考え仕事をつくり出し、社員が実行するから「従業員」と呼ぶのだと思います。賃金を払う側、もらう側に分け、仕事ぶりの評価も経営陣が行ってきましたから「労使」という概念になるのだと思います。
上司が部下のヤル気を引き出すというのも同じ発想だと考えています。

分離されているものをまとめるために「気持ちの統一」が必要になります。
みんなが同じ経営理念を口にする、最近では働く意義の統一…「自己実現のため」といった風潮もあります。

でも、これらは分離された片方=経営者が一生懸命に考え社員に浸透させようとするのだから、頑張るほどに分離に拍車がかかるだけだと僕は考えます。

これからはこの発想が変わる、変わらざるを得なくなると考えています。
分離の発想は大量生産、大量消費の時代に適したものだと思うからです。

モノがない時代は不便でした。と言っても生活者はそれが当たり前だから不便とは思っていなかったと思います。
洗濯板で洗っていてもそれが当たり前だった。そこに洗濯機が登場して初めて不便が生まれる。そして便利な生活が欲しくなる。

今は、これ以上便利にならないくらいに豊かな生活を普通に送れるようになりました。
便利を凝りすぎて複雑で不便を感じる製品もあるしね。

今は便利を超えた「素敵な生活」だと思います。
先日、テレビで「100均の商品で生活を豊かに演出する」という特集をやっていましたが、その提案者は本当に素敵な生活をされていました。

便利と違い素敵には「これが正解」と言ったものがなく多岐に渡ります。生活者の感性の変化も早い。
だから考える側と実行する側を分離していたら変化の時代に正解を出し続けることは難しいと思います。
今は多くの「頭脳」を統合する経営が求められると考えるのです。

頭脳になるには判断のための情報公開が欠かせない

なぜ社員が他人事になるのかと言えば、決めごと(意思決定)に参画しないからです。上が決めたことをやらされる「手足」になっているから。
手足は自発的に動きません、というか動いたら大変です(笑)
考える手足なんて聞いたことがありません、不気味です。
自分事とは自律的であることを意味しますから、手足として扱っていたら他人事になるのは当然だと思います。

頭脳として尊重する姿勢が大切、そう思うのです。
例えば、先程の「100均の商品で生活を豊かに演出する」ということで言えば、それを一緒に考えてもらうことです。

同時に、情報を共有することだと考えます。
仮に100円ショップの経営者がライバルが多く独自化の必要性を感じて生活の演出を提案しようと考えたとします。
そこには具体的な数値の落ち込みもあるはずです。ライバルの動向も調べての判断です。

「考えるためには情報が必要」…とても当たり前のことだと思います。
だから、社員に頭脳になって欲しいと思ったら情報を公開し共有することが欠かせません。

なんて偉そうに言っていますが、僕が指示ゼロ経営を導入した時には情報公開はしませんでした。
「自分たちで考え行動して欲しい」とだけ伝えたのです。(無茶ぶり)

すると、しばらくして注文が来ました。
「決算書を見せてください」と。

当時はすごく驚きましたが、今考えれば当然のことだと思います。
会社がどんな状態かを知らなけれ決めるどころか考えることもできませんよね。

分離の経営では会社全体の情報まで公開する必要はなかったと思います。現場で手足として動くために必要な情報だけでよかった。
でも、統合の経営では全体の情報公開は必須です。

自分事とは「自ら考え判断し行動する」自律的な状態を言います。
そのためには分離から統合に変えることが欠かせないと考えます。

【大好評につき再び開催】

■10月13日-14日 自律的集団を加速する! TOC × 指示ゼロ経営セミナー in 神戸
僕(米澤)が10年かかり実現した自律型組織を3年で構築することを狙った研修です。
TOC(制約理論)の科学的なアプローチと、指示ゼロ経営の人間的アプローチで迫ります。
実践した者だから分かる本音で語ります。
詳しくはコチラを!