賃金に「◯◯手当」といった成果報酬をつけない方が良い理由

社員の賃金に「◯◯手当」といったインセンティブ(成果報酬)をつけている会社が多くあります。
特に営業、販売の仕事に多いよね?
でも、それが機能していないことが多いと思います。
「インセンティブをつけても会社全体の業績につながらない」…そんな悩みを抱える社長が多いように思います。

企業が成長期に身を置く場合は良いけど、成熟期に入ったら制度を変えた方が良いと考えています。

今日は、成熟期の賃金の決め方、出し方について考えたいと思います。

インセンティブは創造の時代には向いていない

多くの会社でインセンティブは時代に合わないと考えています。
その理由は、今は「頑張りが報われる時代じゃない」ってこと。
成長期であれば頑張り…1件でも多く営業する、広告をバンバン出すといった活動量がものをいいました。
頑張る個々人の集合体が成果を上げた。
部分最適(個々人の頑張り)が全体最適になったわけです。

しかし、今は創造性、知恵、アイデアの時代だよね。
インセンティブはこれらを破壊します。
まず、他人からのアメとムチの使い分けで動くと創造性と自発性が破壊されることが研究で分かっています。
これに関してはこの記事を参考にしてね!
「報酬で社員をコントロールすると組織から創造力が奪われる」

アメとムチのコントロールは単純作業では有効ですが創造性の要る仕事では逆効果になるのです。経済が順調に成長した時代の遺産だと思いますが、いまだにこの方式を採用している企業が多いのも事実です。

さらに、創造性は「みんなの知恵」から生まれます。
1人では思いつかないアイデアもみんなと創発(ワイガヤ)すると出る。
それが個々人にインセンティブがつけられると自分の事で精一杯になっちゃうから創発が起きづらいんだよね。

「部分最適が全体最適にならない」…そんな時代なのだと考えています。

だから初めから全体最適を目指すことが大切だと考えるのです。

社員が個々の数字ではなく全体の数字を見る仕組みが必要

全体最適が生まれるには賃金制度を変える必要があります。
個々人のインセンティブではなく「全員が目指すべき全体数値」です。
僕は、これを「全員による皮算用」と呼んでいます。
皮算用って「フッフッフ、これが成功したら安く見積もっても蔵が建つぞい」って感じね(笑
これなら他人からのアメとムチのコントロールにはならないでしょ?

「蔵が建つ」というのは、どれだけ儲かったらどれだけ賃金が増えるのか?が分かることです。だから決算書を公開した上で制度をつくることが大切です。

個々人が目指す数字=全体数字という構図が必要というわけです。
その数字が「売上総利益」です。
売上高ではありません。
売上を基準にすると全体最適にはなりません。

とにかく売上高を上げるためにカンタンに値引きしたり、過剰なサービスをつけたり、強引な売り込みをしてしまうからね。
売上は上がったが売上総利益は下がったなんてことは非常に良くあることです。

社員の人件費は売上総利益から分配されるので、全員が目指す数字を売上総利益にすることが大切なのです。

「みんなで力を合わせて売上総利益を上げることに集中する」…これがチームワークが良くなり創造性が高まる賃金制度の基礎です。

売上総利益から総額人件費(社員全員の人件費)を決め、それを個々人に分配します。
ここで重要なのは成果主義で賃金に大きな差をつけ過ぎないことです。
これではインセンティブと同じで、創造性に必要な創発が起きないからです。
そうすると賃金は基本給+家族手当+通勤手当(+時間外、休出手当)、そして賞与といったシンプルなものになるはずです。
大切なことは、自分の賃金を上げることではなく「全体の数字」を上げることに集中できるような環境づくりです。
それが一番、個々人が得をする、そんな時代だからね。

いまだに多くの企業が成長期の名残を残した賃金制度を採用していると思います。
競争ではなく「共創」が起きる制度に変えることは急務だと考えています。

それでは今日も素敵な1日を!

 

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