「虫の目」で働く社員に「鳥の目」で会社を観てもらうには?

経営理念やパーパスといったものが、現場の実務とかけ離れ、空虚に浮いていると感じることがあります。
単なるスローガンとして掲げられているだけでみんな無関心というか、このニュアンス分かりますでしょうか?
理念を唱和している会社もありますが、社員は何だか興味のない念仏を唱えているように、他人事なんですよね。

社長は、大真面目に自社の存在意義を自問した上で言語化したという人が多いと思います。
にも関わらず、社員にとっては、あくまで「社長の理念」であり「自分たちの理念」ではない…この乖離はどのようにすれば埋めることができるのでしょうか。

その方法として「具体と抽象の接続」という方法が有効です。

具体=現場の業務
抽象=理念やパーパス

用意する問いは「その先に?」です。

事例として、格安航空のピーチ アビエーション(Peach)を引きたいと思います。
同社の設立にあたり、初代社長として白羽の矢が立ったのは井上慎一氏(現ANA社長)でした。
井上氏は、就任の際、格安航空会社という業態の意義を考え抜いたと言います。というのも、格安航空は、コスト管理など、現場社員にかかる負担が大きいので、意義がなければ、社員はモチベーションを維持することは難しいと考えたからです。

考え抜いた結果、次のような結論に至りました。

「世界平和」

なんで?と思いますよね。
これを社員に伝えても、きっと単なる夢物語と捉えられるでしょう。
しかし、現場の業務(具体)とパーパス(抽象)との間には、確かな因果関係があります。

井上氏が描いた因果関係はこう。

「お金のない若者でも世界中を旅することができる。そうなれば世界中に友人ができ、草の根の平和ネットワークができるできる」

こんな物語を描いたんですね。

格安航空ができた「その先に?」→若者が世界旅行ができるようになる。
世界旅行をした「その先に?」→国を超えて友達ができる。
友達ができた「その先に?」→草の根のネットワークができる。
ネットワークができた「その先に?」→平和が実現する。

…という思考プロセスです。

同社が、社員に対し、どのように「具体と抽象の接続」を行ったかは知りませんが、現場の業務
とパーパスが接続されると意思決定の質が高まります。

接続されると、意思決定の質が高まります。
例えば、顧客同士をネットワークするアプリの開発といったアイデアが出るかもしれません。

物事を捉える視点に「鳥の目・虫の目」というものがありますよね。
「鳥の目」が抽象で、「虫の目」が具体ということになりますが、両者は全く違う世界で生きているので、対話をしないと視線を合わせることができません。

理念が組織に共有されないのは、理念が悪いからでも、社員の意識が低いからでもなく「つながっていない」からです。
接続がなされたとき、理念は初めて自分事になり、意思決定の軸として機能し始めます。
理念とは掲げるものではなく「つなぐもの」…手間がかかりますが、必ず報わると思いますので、実践してみてはいかがでしょうか。
 

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