賃金がお駄賃ではなく「おひねり」になると社員は自ら育っていく

「あまり給料は多く要りません」という社員がいたらどう思うでしょうか?
都合いいと思うかもしれませんが、責任ある仕事をしない危険性もあります。
安く売ると「安いんだから」という言い訳が出ます。
同じように賃金に対する意欲が薄いと、それなりの仕事しかしなくても許されるという甘えが生じます。

ただし「もっとちょうだい」ではなく「もっと稼ぐ」という主体的な意欲でなければいけないと考えます。

今日は「ヤル気を高める報酬」について考えたいと思います。

賃金には「お駄賃」と「おひねり」の2種類がある

僕は、賃金には2種類あると考えています。
1つは「お駄賃」でもう1つは「おひねり」です。
お駄賃は、言われたことをちゃんとやった時にもらえるもの。
おひねりは、自分で考え仕掛けた見返りとしてもらえるもので、いただくお金に喜びや驚き、感動が含まれている。

例えば、僕は毎朝コンビニでコーヒーを買うのですが、「コーヒーください!」と言ってカップが出て来る場合、僕が支払うのは「お駄賃」です。
気の利いた店員さんは、僕がレジに行くときには、すでにカップを用意しています。
その気配りに、いつも「ありがと!」の気持ちを乗せて100円を渡していますが、これが「おひねり」です。

お駄賃の特徴は、仕事の質が変わっていないのに「もっとちょうだい」という要求になることがあります。
社長からもらっているという認識です。
おひねりには、芸人のようにお客様からいただいているという認識があります。
だから「もっと喜ばせたい」という自発的な意欲を生み続けます。
どちらの報酬を社員が受け取っているかで会社の活力は大きく違ってきます。

分かりやすく言えば、社員が芸人のような意識と誇りを持って仕事をしている会社は進化し続けるということです。

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おひねりにはお客様の感謝の気持ちが乗ってくる

これが顕著に出るのが「おもてなし」です。
おもてなしはマニュアルを超えた仕事ですので、指示命令で動いていたら実現しません。
その時、その場で現場の社員が自ら考え判断し行動することでしかできない。
以前に「おもてなしマニュアル」なう不思議なものを見たことがありますが、そんなものは存在しないはずですよね?
上司が頑張って考えて部下にやらせることが不可能な仕事です。

おひねりは常に自発性とセットで存在するものです。
社員の賃金を「おひねり化」したければ自ら考え行動してもらうことです。

賃金が「おひねり化」すると社員の自発性が高まる

「おひねり化」を進める上でもう1つ大切なことは「結果の見える化」だと考えています。
芸人のように「ブラボー!」とおひねりが飛んで来れば自分の評価は一目瞭然ですが、企業の仕事はそんなにストレートじゃないですよね?
最終的には決算書という形で評価されるのですが、もっと小さなアクションで反応が感じられるようにしないと長く続かなくなってしまいます。
人は反応のない事には飽きてしまいますからね。

とは言っても、そんなに分かりやすい反応が返ってくることも少ないです。
日本人は特にそうなのかもしれませんが喜びや驚きを表現することに控え目な人が多いと思います。
心では「すごいな」と思っていても言葉にも表情にも出さない人が圧倒的に多い。

そこで活躍して欲しいのが「同じ職場にいる直属の上司や先輩」です。
控え目なお客様に代わって「ブラボー!」の声をかけてあげるのです。
ただし、部下が「上司に評価された」と感じたら、それは依存が生まれる危険性があります。
あくまでも「お客様に代わって」ということが大切だと思います。

例えば、弊社の事務部門の主任のニッタさんは、後輩の素晴らしい仕事にこんな言葉がけをすることがあります。
「お客様、嬉しいと思うよ〜」と。
解説員みたいなものです。

お客様の代弁者なので、得られる効果は「おひねり」に近くなります。

人間には「もっと」という欲望が備わっています。
それが「もっとちょうだい」に働くか?「もっと喜ばせるぞ」に作用するか?
経営の根幹に影響を与える大事だと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!