「期待している」の言葉の罪について。

上司が部下に言う「期待しているよ」という言葉は、時に「呪い」のように相手を縛ることがあります。
どうして?と思うかもしれませんが、気をつけないと部下の思考と創造性を破壊しますので注意が必要です。

どうして、そんなことが起きるのでしょうか。
それを紐解くにあたり「温情型リーダーシップ」という概念を確認する必要があります。
温情型とは、要するに「恩着せがましい」リーダーシップスタイルです。勝手に恩を売りつけてきて見返りを求めるということ。

温情型は、「あなたのためを思っている」という好意を隠れ蓑に近づいてきます。
その言葉の裏には、「だから、あなたも私に好意をよせなければならない」というメッセージが含まれています。
相手の好意を拒絶するのは心が痛みますので、つい受け取ってしまうんですよね。そして、好意には好意で返すのが礼儀と考えますので、強制的に「呪縛」がセットされてしまうのです。

世の中には、贈答品でこれをする人がいます。
受け取ったら最後、何かしなければいけないという圧力がかかり、相手の支配下に置かれてしまいます。呪縛から逃れるためには、相手が何かを要求する前に、お返しをしてしまうことです。

温情型の悪質なところは、相手が恩を返さない時に、被害者の立場をアピールすることです。
「あなたは私の気持ちを分かっていない」「分かってくれない」と言うのです。

部下の立場で考えてみましょう。
勝手に恩を送りつけたにせよ、それを拒否することはできません。仕方なく受け取ったら、今度は「あなたは分かっていない」と責められ罪悪感を抱きます。
こうして、恩着せがましいさから逃れることができない服従地獄に落ちるのです。

「期待しているよ」という言葉も、その裏に「期待に応えてね」という思惑が含まれている場合、相手を縛ることになります。
温情型リーダーシップは、部下の思考と創造性を破壊しますので、結局は自分も得をしません。まさに「人を呪わば穴二つ」ですね。

優れたリーダーは、部下を縛らない言葉を使います。

「自分の考えで進めよう」「失敗してもそこから学べばいい」「きっと良くなる」「ありがとう」「助かった」

他にも、どんな言葉があるでしょうか。

温情型は、恩のやり取りが上司と部下という閉じた関係で完了するのに対し、上記のやり取りは、見返りがないため、上司にしてもらったことを、上司以外の誰かに送るようになる可能性があります。
そうなれば、組織は自律的、持続的に良くなっていくでしょう。 

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