従業員から「仕事の主」へ。

仕事に対する前向きな心理状態を、近年では「エンゲージメント」と呼びます。
ざっくり言えば、「仕事に前向きに関わろうとする意欲」のようなものですが、米国のギャラップ社の調査によると、日本企業には働きがいを感じている社員が5%しかいないことが明らかになりました。
世界平均の5分の1、米国・カナダのおよそ7分の1、中国の3分の1、韓国の2分の1、調査対象129カ国中128位という惨憺たる結果でした。

日本のエンゲージメントが低い原因は「従業員」という概念にあると僕は考えています。
「従業員」という言葉を見るたびに、どこか「業務に従う者」という閉塞的なイメージを感じるんですよね。
「業務に従う者」…上が決めたアイデア・計画を「やらされる」という構図で、しかも分業化された一部分をやらされていては、エンゲージメントが下がるのも当然だと思うのです。

指示ゼロ経営では、社員は従業員ではなく「仕事の主」を目指します。
それは、自ら考え計画し→実行し→実行した結果を振り返り次の行動を考えるという一連の主体者であるという意味です。
つまりは、働く人が「主」で、業務が「従」という構図です。

指示ゼロ経営では、まずは仕事の主になることを目指しますが、それは通過点に過ぎません。なぜなら、仕事の主になった先には、もっと大きな喜びが待っているからです。

次の段階は、顧客との間に「喜びの循環」を生むことを目指します。
仕事の主にとって最高の報酬は、自分が手掛けた製品やサービスにより喜ぶ顧客の姿です。
そして、その姿を観ると「もっと喜んでもらいたい」という意欲を持ちます。

同時に、そんな姿を見た顧客も、「仕事の主」に対し応援や尊敬の念を持つようになります。
これが循環する。
本来、取引は、代金を払えば終わりです。しかし、その人の仕事ぶりに心を動かされた顧客は、契約上の義務を超えて、感謝や応援を送り、その循環は大きくなっていきます。

僕は、この対価を超えて送られるものを「おひねり」と呼んでいます。
「おひねり」は、もらった人も嬉しいのですが、実は与えた人が最も幸せです。
古今東西、宗教や哲学が理想とした「与える幸せ」を、ビジネスで得られるのですから素晴らしいと思うのです。

「おひねり」とは、感謝や驚き、尊敬の念が乗ったお金です。
だから、「念」の拡大循環とともに、自ずと経済規模が大きくなる…それが持続可能な繁栄の形だと考えるのです。

□仕事の主を目指す。
□顧客に喜ばれる悦びを体感する。
□感謝と応援が循環する。
□喜びを乗せたお金が巡り、企業が成長する。

自分で考える。
自分で工夫する。
自分でつくったものが、誰かの役に立つ。
その人から「ありがとう」と言われる。
すると、もっと喜んでもらいたくなる。
顧客からも応援される。

感謝と応援が巡り、その気持ちが貨幣に乗ることで、企業が成長していく。
僕は、これこそがビジネスの美しい繁栄の形だと思っています。
 

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