リーダーが、ずっと先頭に立ってはいけない理由

リーダーの役割は何でしょうか?
大局的には「組織を成功に導く」ということですが、それだと具体的な行動イメージが湧きませんよね。
そこで、もう少し具体的なイメージに落とし込むと「リーダーシップの発揮」ということになると思います。

では、リーダーシップとは何でしょうか?
色んな定義がありますが、指示ゼロ経営的には、シンプルに「巻き込み運動」と定義しています。
さらにやさしく表現すれば「この指とまれ」です。

リーダー、マネージャーは、組織から与えられた権限があり、力でメンバーを動かすことができますが、それでは自発性が殺され、部下はいい仕事はしません。
リーダーは、魅力的な「指」を提示し、そこにメンバーが集うという状態が理想です。

さて、今日の本題は、ここでいうリーダーとは、役職者とは限らないということです。
優れた組織は、時と場合に応じて「指」を差し出す人が変わります。
役職者が差し出す時もあれば、メンバーが差し出す時もある。

どんな時に誰が差し出すのか?
僕は、それを「渡り鳥」をメタファーに整理しています。

渡り鳥は、季節になると海を渡る大冒険の旅に出ます。
冒険のプロセスを大別すると、次の3つに分類することができます。

1、大きなエネルギーを要する離陸
2、離陸後の混乱
3、安定飛行

これをビジネスに置き換え、誰が「指」を差し出すかを考えてみましょう。

❚ 大きなエネルギーを要する離陸

企業が冒険に旅立つ時、そこには必ずミッションがあります。
ミッションとは、「どこに到達するのか?」「何を手に入れるのか?」…出来栄えを表しています。

ミッションの設定はリーダーにしかできないというのが、僕の考えです。
僕は、社員にミッションの設定を任せたことがありますが、上手くいかないんですよね。社員は、自分に割り当てられた業務に集中していますので、未来のことを考えろと言われても困ってしまうのです。
それでも依頼されれば考えてくれますが、無理して考えたミッションにはエネルギーがなく「この指とまれ」は起きません。
会社のミッションを立ち上げるのはリーダーのみ…それが僕がたどり着いた結論です。

❚ 離陸後の混乱

ミッションを語ると、「そんなことができるのか?」「ただでさえ忙しいのに」と言い出すメンバーが出て、組織は一時的に混乱状態に陥ります。
ネガティブなことを言うメンバーを見ると、リーダーは失望しますが、この段階で時間をかけてケアをすることが欠かせません。
それを怠り、懸念に蓋をしたまま出発すると、後で、懸念が的中して「だからその時、言ったんだよ」ということになります。

リーダーだって、何かを始める時は葛藤や戸惑いを感じるはずです。
僕なんか、2011年の4月にブログを始めましたが、決断までに半年もかかりましたからね。
丁寧な説明と対話も、「指」を差し出した者の役割だと考えています。

❚ 安定飛行

渡り鳥の集団は、安定飛行の段階になると「V字」の編隊を組み飛行しますが、先頭の鳥には風圧がかかるため、時々、先頭が入れ替わると言います。
これは企業が安定飛行に入った時も同じで、優れた組織は、直面する課題により、それに長けた人が「指」…アイデアを出し、周囲を巻き込みます。
この状態に入った組織に訪問すると、一見しただけでは誰が役職者か分かりません。

「先導の入れ替え」をスムーズにするためには、メンバーは失敗を恐れずに前に出る必要があります。
それを促すことも役職者の役割だと考えています。
僕が経営支援で関わっている会社の管理職は、会議の際に、メンバーに「自由に発言しようね」と促し、発言した人に対し「いいね!」とエールを送ります。

いかがでしょうか。
組織は、誰か一人の力で動き続けるものではなく、状況に応じて役割が移り変わることで、しなやかに前進していきます。
リーダーは、必要な場面で先頭に立ち、適切なタイミングでサポート役に回る。
そんな柔軟さが、渡り鳥のような冒険力を醸し出すと考えています。
 
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