任せられる器を「思考の技術」で広げる方法

部下に任せたいとは思っている。しかし、つい計画立案の段階から細かくチェックを入れたり、行動の一挙手一投足に口出しをしてしまう。…任せることと、良い結果をつくることの狭間に悩むリーダーもいるといます。

この状態が続くと、部下は「口出しするなら、最初から細かく指示を出してくれ」と思うようになり、自発性が根こそぎ破壊されてしまいます。
一度破壊されるとリカバリーには多大な時間と労力を要しますので、一刻も早く直したいところです。

どうすれば良いのか?
それは、とりも直さず「任せること」です。

「そんなことをしたら失敗する」そう思うかも知れませんが、そもそも失敗するから成長するのです。

成長には…

1、想定外の経験
2、他者からのアドバイス
3、独学

の3つが必要で、中でも想定外の経験が7割のウェイトを締めます。

順番も大切で、想定外の経験をした時に、初めて他者からのアドバイスを受け入れます。
なので、経験をする前…計画立案の段階で何をアドバイスしても、それはケチをつけられたとしか受け取られないでしょう。

任せ方が上手なリーダーは、想定外の経験を部下にさせるべく、どのような心得を持って任せているのでしょうか。

先日、ホワイト企業大賞の審査で伺った企業の社長が、この件について深い示唆を与えてくれました。

「社員たちは、私が譲れるものと譲れないものを知っている」

譲れないものとは、理念、方針、ビジョンだと言います。
理念、方針を守り、ビジョンにたどり着くならば、「行き方」は任せられると断言します。そして、そのためには失敗が欠かせないと考えていますし、惜しみない支援をする心づもりでいます。

譲れるものと譲れないものを明確にするために、次に紹介する付箋を使った思考の整理法が有効です。
「理念」「方針」「ビジョン」「新聞配達」「給与」「休日の決定」「商品仕入れ」「人事制度」「掃除」など、自社の経営を構成する要素を、1要素に付き1枚の付箋に書き出します。
そして、その中で絶対に譲れないもの=絶対に任せることができない要件だけにチェックを入れます。

譲れるものと譲れないもののコントラストがはっきりすることで、任せるべきは任せるという意志が固まるのです。

また、この構図を社員と共有すれば、事実上「譲れる部分は任せる」という宣言になりますし、社員は、任せられることへの責任意識を新たにします。

僕も、新聞店の社長時代にこの方法を採用しました。
やる前は宣言が怖かったのですが、やってみると、互いに思考が整理され、とても気持ちが楽になりました。

気持ちにゆとりができると、任せるだけでなく、部下の仕事を支援できるようにもなるでしょう。

任せられるリーダーになるためには精神的な成熟=「器」が大切ですが、それは人間性だけでなく、思考技術で広げることができるものだと考えています。
技術ならば訓練で習得できるということ。つまり、誰でも器を広げることができるということだと考えるのです。
 
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