集団の「空気に流される」はこう防ぐ
組織がおかしくなる時は、決まって、社長にとって耳が痛い情報が隠されることから始まります。
よく、不祥事を起こした企業の社長が会見で「現場の判断」と言いますが、あれは言い訳ではなく本当に知らなかったのだと思います。
リーダーにとって都合の良い情報に偏る、つまり情報の多様性が毀損されると「集団浅慮」(集団バカ)の病にかかります。
集団は、次の3つのプロセスで優れた知恵を創出します。
1、多様でたくさんの意見・アイデアが話し合いのテーブル上に上がる。
2、ワイワイガヤガヤ話し合っているうちに、誰かが面白いアイデアを口にする。
3、そのアイデアにフォロワーがつき採用が決まる。
これが、会議中よりも、飲み会の時に優れたアイデアが生まれる理由であり、社長にとって耳な痛い情報を隠すと集団バカに陥る理由でもあります。
集団バカは、人類の歴史の中で度々問題になりました。
100年以上も前に、イギリスの哲学者、ジョン・スチュアート・ミルは著書「自由論」の中で、反論の重要性を次のように述べていす。
自分の意見に反駁・反証する自由を完全に認めてあげることこそ、自分の意見が、自分の行動の指針として正しいといえるための絶対的な条件なのである。全知全能でない人間は、これ以外のことからは、自分が正しいといえる合理的な保証を得ることができない。
近代でも、「ベトナム戦争」「ウォーターゲート事件」「戦艦大和の出撃」あるいは企業の不祥事など、様々な集団浅慮が起きました。
これらに共通するのは「空気に流された」という事実です。
そして、後になって「実は、あの時、私は反対だった」と言う人が何人もいたそうですが、彼らも言い訳をしているのではなく、反論ができる雰囲気ではなかったのです。
では、どうすれば「空気に流される」は防ぐことができるのでしょうか。
まずもって、反論した者、社長にとって耳の痛い情報を上げた人を責めないのは言うまでもありません。
同時に、集団は空気に流されバカになる可能性があるという認識を、メンバー間で共有することが大切だと思います。
しかし空気は、それでもできてしまうので厄介です。
人望が厚いリーダーがいると「リーダーだったらどう考えるか?」と忖度するメンバーがいます。
重大な問題を扱う場合、あるいは制限時間が課せられている場合では、強いストレスがかかるため、早く終わらせたいという思いから稚拙な結論でも「ま、いっか」としてしまいます。
その防止に関して参考になるのは、ジョン・F・ケネディの組織づくりです。
ケネディが大統領時代には、国家の存亡を左右する重大な意思決定をすることが何度もありました。
ケネディ大統領は、拙速な意思決定を避けるために、あえて「反論専門のスタッフ」を2人配置しました。同時に「無理して結論を1つにまとめなくとも良い」というルールを設けました。
反論者に適した人材は、分析能力が高いクールな人です。
あなたの職場に、そういうタイプがいたら、組織公認の反論者をやってもらい、時々「◯◯さん、何か気付いたことはありますか?」と確認をしながら進めると良いと思います。
社長にとっては、耳が痛い情報が入ってくるので勇気が要りますが、問題が重大であるほど集団バカに陥りやすいので、このようなセーフティネットを組織の仕組みとして埋め込む必要があると考えています。
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