ビジョンを細かく描き過ぎると求心力の低下を招く

「ビジョンはできるだけ詳細・鮮明であるべき」という考えが一般的ですが、実は、それはそれで問題があります。
あまりに詳細すぎると、かえって組織から求心力が奪われることがあるんですよね。
その理由は、細かすぎると、自分のイメージとの差異が目につき、共感できなくなるからです。

例えば、社員旅行で「北海道に行って海鮮丼を食べる」という企画を、「イクラ丼を食べる」に限定したら、「いや、俺はウニ丼が良い」という人が出てしまいます。
人は、敵との大差は気にならないが、味方との間にある小差はものすごく気になるもの。
ビジョンがあまりにも詳細だと、組織のまとまりがかえって阻害されることがあります。

しかし、イクラ丼かウニ丼かで、行くお店も違えば費用も交通手段も変わります。
ビジョンが定まれば、メンバーは交通やレストランなどの手配を主体的に行うことができますし、不測の事態が起きても代替案を考えることができます。
だから、やっぱりビジョンは明確でなければなりません。そして、同志=イクラ丼を食べたい人でチームを結成することが理想で、経営の教科書には大抵そう書いてあります。

ところが、現実はそう上手くは行きません。
特に、これからビジョンをつくる企業や、ビジョン変更を余儀なくされている企業では、色んな価値観を持った人がいて、彼らと上手に折り合いをつけていかなければなりません。

その方法として、ビジョンを示しつつも、メンバーが自分なりの思いを差し込める「適度なあそび」をつくるというものが有効です。

「あそび」上手に取り入れる有効な手段として、僕が活用しているのは「個人の望み」を描き、全体ビジョンと統合させるという手法です。
イクラ丼の例で言えば、イクラ丼よりもウニ丼が好きだが、「お土産にウニを買って家族と食べる」といった個人的なビジョンと統合させるのです。

具体的な手法は、組織のビジョンを描くと同時に「ビジョン実現の暁に、あなたは何を手にしていますか?」という問いを投げます。
個人が手にするのは、マイホームや車といった有形物でも、達成感や仲間への感謝、自己成長といった無形物でもOKです。

組織に貢献することで自分のビジョンが実現するという構図をつくるのです。

ちなみに、人は成長しますので、個人ビジョンは定期的に更新する必要があります。更新すると、最初は「高級車を買う」と言っていた人が、気づけば「自分の個性、才能を活かし他者に貢献する」というように変わるものです。
僕は、そんな人をたくさん見てきました。

また、上手に折り合いをつけつつも、新規採用では自社のビジョンに共感する人を入れることも重要です。

色んな価値観を持った人が、ビジョン実現を通じ、幸福になること。そのデザインが経営なのだと思います。

今日の記事をまとめると…

▢ビジョンに、個人の解釈が入る余地がないと小差が気になり求心力を失う。
▢「あそび」を取り入れるには、組織のビジョンと、個人のビジョンを統合させる。
▢自社のビジョンに共感する人を採用する。

ということで、参考にしていただければ幸いです。
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