任せた後の、上手な口出しの仕方

部下に仕事を任せるなら、覚悟をもって最後まで任せ切ることが大切です。
覚悟が中途半端だと、途中で口出しをしたりダメ出しをしたりしてしまいます。
部下からすれば、こんなにも理不尽なことはありません。「じゃあ、任せるなんて言わずに、ちゃんと指示を出してよ。その通りやるからさ」となり、自発性の芽はあっという間に刈り取られてしまうでしょう。
一度、信頼関係が崩れると、リカバリーには相当な時間と労力を要しますから注意が必要です。

とまあ、ここまでは普通の話です。

「そんなことは重々分かっている。でも、口出ししちゃうんだよ」というのが現実ではないでしょうか。

僕は、口出しをまったくしないリーダーなど1人も見たことがありません。僕もそうでしたし、みんな口出しをしています。
ただ、そこには、上手な口出しと下手な口出しの違いがあるのです。

そもそも口出しをする時とは「このままじゃ上手くいかないだろ」と感じた時です。

口出しが上手なリーダーは、そんな時に、次の3つの要件に基づき「問いを投げかける」という形で上手に口を挟みます。

1、応援の気持ちの表明
2、目的の確認
3、懸念の共有

ある企業では、労働生産性の向上を目的にしたプロジェクトチームを立ち上げました。チームで検討した結果、そのためのアイデアとして「管理システムを買い替える」という案が出ました。
案を社長に提案しますが、社長はう〜んと唸っているだけで首を縦に振りません。理由は、システムが非常に高価で、投資対効果に疑問を感じたからでです。

なかなか首を縦に振らまい社長を見ていると、メンバーは段々と意固地になり、システム導入にこだわるようになります。
その様子を見た社長も防御の姿勢を固めます。

さて、こんな時に、どんな口出しをするのが理想でしょうか。

同社の社長は、「システム導入に反対しているわけではない」と伝えた上で、メンバーに対し2つの問いを投げかけました。

・そもそも目的は何だっけ?
・システム導入のメリットは分かったが、投資対効果はどうかな?そこが懸念なんだ。

応援の気持ちを表明した上で、問いと懸念を伝えたのです。
要するに「投資対効果が高い別の方法はないかな?」ということを、相手の気持ちを害さないように伝えたということです。

上手に伝えると、社員はリーダーの言うことを受け入れてくれます。
メンバーは、これを受け、目的を再確認したうえで、より投資対効果の高い方法を検討しました。その結果、別メーカーのワンランク下のシステムで十分という結論に至りました。

もし、このケースで、「投資対効果を考えないとダメだ」と言ったら、メンバーはどんな気持ちになるでしょうか。
あるいは、社長が自分でシステムについて調べ「このメーカのもので良いじゃないか」という口出しをしたらどうなるでしょうか。
横槍を入れられたと感じ、何が何でも自分たちが選んだシステムを導入することに意固地になり、目的と手段を取り違えたまま行軍を進めることになるかもしれません。

「任せた以上、まったく口出しをしない」なんていうリーダーはいないと思います。

1、応援の気持ちの表明
2、目的の確認
3、懸念の共有

これらをもとに、あなたの個性に合った上手な口出しを研究してみてはいかがでしょうか。
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