「賞与は社員間で差をつけずに、賞与総額を人数割にする」で上手くいくワケ

厚労省の調査によると、今年の冬の賞与は、昨年対比で1.5%増となったようです。
しかし、以前のように「みんながいい」というわけではなく、良い企業とそうでない企業との間に差が生じているようです。

差が生じるのは社内でも同じです。
多くの企業が評価制度を取り入れていて、人事評価により支給に差を付けています。
その方法は、激しいものから大人しいものまで様々です。

最も激しいのは、成果主義賃金制度です。典型的なのは、部下をS・A・B・C・Dの5段階で相対評価します。Sは全体の10%、Aは20%、Bは40%、Cは20%、Dは10%、などと分布を決め、賞与の原資を成績に応じ傾斜配分する方法です。
当然、競争原理が働きます。

成果主義は2000年代初頭に多くの企業が導入しましたが、社員間の人間関係とチームワークが破壊されたため、すぐに廃れました。
実は、僕も流行に乗り痛い目に遭いましたが、本当に酷い状態になりました。
仲間を助けたことで、その人の評価が上がると、相対的に自分が下る可能性があるため、助け合や学び合いは皆無になります。
それどころか、成果が出せない人が出ると喜ぶという悪魔のような者も出ます。

低い評価を受けた人は、「次は頑張ろう」という気持ちになるかといえば、そうではありません。
「D評価という罰を受けたのだからチャラになった」と過去を精算してしまうのです。

あまりにも大きな差をつけると風土が殺伐とするため、差を小さくする企業もありますが、あまり効果はありません。
金額差の大小の問題ではなく、評価に納得がいかないということなのです。

そんな状況の中、僕の周りには「一切、評価をしない」ことで上手くいっている企業があります。
原資は決めますが、人数割か、基本給に比例して支給するのです。

ちなみに、僕が経営してきた新聞店でも、成果主義を廃止し基本給比例方式に変えました。

「そんなことをしたら、サボる人が出る。成果を出した社員が納得しない」と言う人がいます。

しかし、風土が整っている企業では、この方法が最も上手くいくのです。

風土とは「共創・協働」の風土です。
「競い奪い合うのではなく、みんなで力を合わせパイを大きくしよう」という風土です。

共創原理に基づくと、人間関係が良くなります。
すると、人間が持つ「互恵性」がいかんなく発揮されるのです。

ある企業では、入ったばかりの新人さんも人数割の数に含まれます。
すると、当人は「こんなにもらって申し訳ない」という気持になります。
そして、「金額に見合うだけの働きができるように成長しよう」という意欲が生まれます。
共創原理があると、先輩や上司も成長の支援をします。

こうして内発的な成長意欲が生まれるとともに、助け合い、学び合いが活性化して組織が繁栄するのです。

何よりも、働くことから幸せを得ることができますよね。

僕は、評価の精度を上げるよりも、このような状態をつくる方が有効だし、現実的だと考えています。

多くの企業が冬の賞与を支給したと思います。
落ち着いたところで、組織風土と支給法を根本から考えてみてはいかがでしょうか。

というわけで今日も素敵な1日をお過ごしください。

 

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