社員の「人を増やして欲しい」の要望にどう応えるべきか?

忙しくなると、「人を増やして欲しい」という声が現場から上がることがあると思います。
僕が経営者から受ける相談の中でも、上位を占めます。

でも、社長は「ハイ、そうですか」と増やすわけはありません。
安易に増やす危険性を肌で分かっているからです。

僕が新聞店の社長時代にもありましたが、僕は安易に人を増やすことはしませんでした。
人を増やすのは「最終手段」だと考えてきました。

僕は2つの視点でこの問題を解決しました。

人を増やすと余計に忙しくなる

1つは、「安易に人を増やすと逆効果」…余計に忙しくなるという事実です。
安易に人を増やした企業では逆効果が発生しています。

業務の標準化(マニュアルなど)がないと、上手に新人さんを育てることができません。
教育の仕組みがないと、いつまで経っても育ちません。
すると、先輩・上司が忙しくなります。
ある企業では、人を増やした結果、先輩・上司の残業と休日出勤が増えました。

業務の流れが悪い職場で人を増やすと、さらに流れが悪くなります。

ここにA〜Dの4つの工程で仕事をしている会社があるとします。
下の図は、工程の流れと、各工程の能力を、3〜5の数字で表しています。

日によって能力にバラツキが生じます。
それは、例えば急な受注やスタッフの体調などでのバラツキです。

一番、右の数字がアウトプットですが、アウトプットは工程の中の一番弱い部分で決まります。

この場合、すべて3です。
忙しい工程で増員をしても、結局、その時、一番弱い部分でアウトプットが決まるわけですから、増員よりも全体の最適化を考えるべきなのです。

最適化ができてない状態で人員を増やすと、コストだけが増えアウトプットは増えないという不条理が起こります。

少数精鋭組織になる仕組みを整備する

僕がこの問題を解決したもう1つの方法は賃金制度です。
社員から、「人を増やしたい」という声が上がった時、社長ならこう考えるはずです。

「増員して収益は上がるのか?」

増員すれば固定費は上がります。
その分、収益が上がらなければ会社は衰退を意味するわけです。
社長はこう考えるから「了解!増やしましょう!」とは言えないのです。

もっと具体的な数字でお伝えします。
社員の賃金は売上総利益を根拠にしています。売上総利益が増えれば賃金も増えます。

例えば、売上総利益が1億円の会社で、人件費が5000万円の会社の場合、労働分配率は50%です。

もし増員して、人件費が5500万円になれば、売上総利益は1.1億円、稼ぐ必要があります。

企業は、「無い袖は振れない」から、増員しても業績が変わらなければ、社員1人あたりの賃金は減っていまいます。

この知識があれば、「少数精鋭で大きく稼ぐ」という発想になります。
売上総利益が同じ1億円なら、10人で稼ぎ出すよりも9人でやった方が、1人あたりの賃金は高くなります。

そうすると、安易に増員を考えるのではなく、社長と同じように増員しなくてもできる方法を考えるようになります。

実際に、当社でも効果のない業務を廃止したり、マニュアル化、新人育成の合理化、業務の流れの最適化を行いました。

人を増やさなくても出来てしまうのです。

より付加価値の高い仕事をするようにもなります。

そうなって初めて増員するのが正解です。

今日の記事は、是非、社員さんにシェアしてください。
増員する前に、やるべきことはたくさんあるのですから。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

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