賃上げで組織の活力が高まる企業と、固定費増だけで終わる企業の差

日本商工会議所の調査によると、2023年度に賃上げをした中小企業が58・2%に上ったと発表しました。
大企業が続々と「賃上げ宣言」をした影響です。
賃上ができるだけの業績を出していない企業も多く、採用や離職の影響を懸念した「防衛的賃上げ」ということだそうです。

先日、僕の知り合いの社長も、「(賃金を)上げないとしょうがない」とため息まじりに、賃上げをした経緯を話してくれました。
危機感を感じているのは、社長は賃上げをした分、業績を上げなきゃいけないと焦っているのに、社員さんは「賃上げラッキー!」としか思っていないということだそうです。

社長と社員さんの意識が1つの方向に集結していないのは非常に危険です。
すぐにでも改善が必要です。
そもそも、賃金はどこから出るのか?という事を知ってもらう必要があります。

とある研修会社は、新入社員研修で、「給料は誰からもらっているか?」と聞くそうです。
多くの人が「会社から」とか「社長から」と答えるそうです。
研修では、「給料はお客様からもらっている」と指導するそうですが、僕は、この認識はとても大切だと考えています。

お客様からいただくお金は「売上高」ですが、賃金は「売上総利益」から出ます。賃金を増やすには、売上総利益を増やす必要があるわけですが、知人の会社では、それを知っているのは社長だけなのです。
社員さんには、「社長からもらっている」という認識があり、今回の賃上げで、さらに、その認識が強化され、「社長、来年もよろしく!」となる懸念があるのです。

僕は、これからは、「賃金はどこから出るのか?」ということを、社員さんと共有することが欠かせないと考えています。

出し方には計算方法があります。
売上総利益が1億円、社員さんの人件費(総額)が5000万円の会社があったとします。
この場合、労働分配率は50%です。(売上総利益に対し、人件費が占める割合)
仮に、この会社の売上総利益が1000万円増え、1億1000万円になったとします。
増えた分、1000万円を会社と社員さんとで山分けします。分配の比率は、労働分配率が50%なので、社員さん=500万円 会社=500万円とするのが一般的です。

労働分配率の他に、もう1つの指標があります。
僕が「稼ぎ倍率」と呼ぶものです。この会社は、社員さんの賃金(5000万円)の2倍の売上総利益(1億円)を稼いでいます。
仮に、賃金を500万円増やして、5500万円にしたければ、2倍をかけて、1億1000万円の売上総利益が必要ということになります。
この皮算用が実現すれば、増えた1000万円を、社員さん=500万円 会社=500万円で分けます。

この認識を社員さんが持つと、知人の会社のように「賃上げを手放しで喜んでいるだけ」ということはなくなります。

社員さんが、家計のことをまったく知らず、ただ単に、お小遣いUPを期待する子どものようになってはいけないと思うのです。

社長と社員さんの意識が1つの方向に集結するためには、科学的な根拠に基づく仕組みが欠かせません。

でも、注意があります。
「稼がないと給料が上がらんぞ」とか、「ニンジンぶら下げ」で社員さんを煽ることはしないでくださいね。
期待する効果とは真逆の現象…自発性や創造的な仕事ぶりが破壊されますから。

というわけで、何かと賃上げが話題になる今だからこそ、今日の記事で伝えたことを社員さんと考えてみてはいかがでしょうか。

それでは素敵な1日をお過ごしください。

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