全力を尽くすことを部下に求めると会社全体はおかしくなる

全力を尽くすことは美徳である…そんな考え方が支配的だと思います。
ちょい体育会系的な匂いがしますよね?
しかし、最近、僕は「果たしてそうなのか?」と疑いを持つようにしています。
たくらみ屋の仲間たちに出会ったからです。
きっと彼らはこの考え方に反対すると思います。

どうしてか?
今日は、そのメカニズムを解明したいと思います。

個々の頑張りの集積は全体の成果につながらない

昔、僕が会社員だった頃、直属の上司にこんなことを言われました。

オレは全力を尽くす人を評価する。例えば、持っている能力(ポテンシャル)が80なのに60しか発揮しないヤツより、60のポテンシャルで60を発揮するヤツを評価する。

同じ60のアウトプットでもポテンシャルを使い尽くす人を評価するというわけです。

これを聞いた時に、僕は「なるほど〜」と関心したのですが、上司の指導通りに動くと、なぜか仕事が遅れたり、チームとして結果を出すことができないのです。
何よりも皆んなクタクタ(笑)

上司の指導は半分は正しいと思います。
それは、仕事への取り組み姿勢として、集中するという意味では正しい。
でも、アウトプットという意味では間違っているのです。

僕はたくらみ屋の相棒、森本繁生からこのメカニズムを学びました。
彼に教わり衝撃を受けたのが「みんなが休む暇もなく働いている会社は倒産する」という言葉でした。

その理由は、会社は一番、弱いところでアウトプットが決まるからです。
例えば、あるケーキ屋さんでは、材料仕入れ→製造→ラッピング→販売という工程でお客様にお届けしているとします。
各工程の能力を、仮に…
材料仕入れ(10)→製造(8)→ラッピング(5)→販売(11)だとすると、この会社は5しかお客様にお届けできません。
一番弱いところ(ボトルネック)が全体を決めるのです。
そればかりか、ラッピング工程のところにラッピングされていないケーキが山積みされているはずです。
この山はお金をかけて作ったが、まだ現金になっていないものです。
これが経営を圧迫します。

ボトルネックは日々、移り変わります。
スタッフの体調だったり、天候だったりで。

さて、かつての上司の論理をこの状態に当てはめるとどうなるか?
悲惨な事が起きます。

ゆとりを持ち助け合った方が組織は強くなる

「全力を尽くしたヤツを評価する」なんて言われると、材料仕入れは11も12も仕入れるかもしれません。
ボトルネックは移り変わりますので、どこかで流れが滞ります。
つまり、頑張れば頑張るほどビンボーになっていくというわけです。

仕入れがポテンシャルの半分の5に落ちしたらどうなるか?
上司に叱られます(笑)
が、ラッピングされていないケーキの山は消えますよね。
キャッシュが増えるのです。

さらに、そうすると材料仕入れと製造にゆとりができます。
ゆとりができて初めてラッピングの工程を助けに行くことができます。
もし、5が8になったら、この会社は一銭の投資もせずに、全員が以前よりゆとりが持てて、業績が1.6倍になります。
さらに、助け合いにより人間関係とチームワークが良くなります。

豊かな人間関係は幸福感を生みます。
幸福感は創造性に直結します。

つまり、より高価値の経営になるのです。

全員が全力で頑張れば良くなるというのは幻想…これが僕がたくらみ屋から学んだことです。

ゆとりって大切ですね〜

それでは今日も全力を、、、いや、ゆとりある1日をお過ごしください。

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