なぜか、優れた会社ほど特別な工夫がない

会議の鉄則は「目的を持って時間内に結論を出すこと」と言われています。
ダラダラした会議は良くないというのが常識だと思います。
確かにその通りだと思いますが、結論が出ない会議も定期的にすることが大切だと考えています。

僕は多くの指示ゼロ企業を見てきましたが、指示ゼロになる過程で結論の出ない会議を経験している企業が多いのです。
ファシリテーターもいない、時間も定められていない、何を話し合うのかも明確じゃない、じれったい会議です。

この一見、無駄に見える時間が実は、指示ゼロ企業への近道だったりするのです。

経営理念などの答えが出ない問いに社員が自ら考えること

人間の成長にとって考え悩む時間はとても大切だと思います。
分かりやすいことは本当に良いことか?と思うのです。
進行役がおらずに混乱し、それ故に一生懸命に考えることで深く解ることがある。

例えば、僕の地元に伊那食品工業株式会社があります。
「年輪経営」で有名な会社です。
社是は「いい会社をつくりましょう」です。
HPにいい会社の定義が書かれていますが、そこに書かれていることはさほど重要ではないと思っています。

重要なことは、この抽象的な問いに対し社員が自ら考えること。
僕の友人に同社で働く人がいますが、彼なりのいい会社の考えがあります。

考え悩むから心に染み込み、定着度が高くなるのだと思うのです。

ルールで社員を縛るのは簡単です。
早いし分かりやすい。

でも、それだと長期的には損をすると思います。
まず、一方的に押し付けると自分事にならず守られず、監視、罰則が必要になります。
ルールを作るのも維持するのも、監視をするのもコストも労力も必要になります。
守らない一部の者のために、ルールは細かくなるし増える一方になります。

ルールが形骸化し本質を見失うこともあります。
笑い話みたいな事例ですが、ある会社は、コスト削減のためコピーはカラー印刷を禁止しています。
ある時、会議の資料を誤ってカラーで刷ってしまいました。
それを上司に報告すると「モノクロで刷り直してくれ」と言われたそうです(笑)

アホか?って感じですよね?

目指す経営は「ないけどある」の経営

企業の存在意義など、重要なことほど結論を急がずにジックリ、ダラダラでも良いので話し合う時間が必要だと考えます。
簡単に結論が出ないから、何度も行うこと、結論が言語されても、たまに行うことです。

これを繰り返すとどうなるのか?
「内在化」という現象が起こります。
完全にものになった状態を指します。

こうなると本当に強い。
文化・風土ですのでちょっとやそっとじゃビクともしない会社になると思います。

内在化が起きると「引き算の経営」になります。

例えば、経営理念もルールも「ないけどある」という状態になります。
世間では、社員全員が経営理念を一言一句、正しく言える会社を良しとすると思いますが、僕はそうは思いません。
「人によって言葉は違うが、言っていることは同じ」これが理想で、内在化された「ないけどある」の状態です。

「形にしなくても確かにある」が増えると経営はとてもシンプルになります。

こういう会社に見学に行くと、見学者は悩みます。
目に見えるものが少ないのに上手く行っているからです。
見学する時って、目に見えるハウツーに目が行きますし参考にしたくなりますよね?

代表的なものだと経営理念、ビジョン、目標、評価制度、ルールなどです。

「ないけどある」…内在化はジックリと時間をかけて醸成するしか方法はないと思います。

答えの出ない会議が重要だと考えるのは、そんな理由なのです。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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