ビジョンは語っても伝わらない…「彫刻手法」で社員と一緒に形づくる

経営の教科書には必ず「ビジョンが大切」と書いてありますが、そもそもビジョンはなぜ必要なのでしょうか。
最も大きな理由は「社員が自ら意思決定するため」です。ビジョンがないと、社員は自分で考え行動することができず、リーダーは細かなことまで指示を出さなければなりません。

だからビジョンは大切なのですが、経営の教科書の多くは、その必要性は語っていても共有の仕方にまでは踏み込んでいません。
実は、ビジョンを伝えるのは誰でもできますが、理解してもらうのは難しい。さらに、共感し、自分事にしてもらうのはもっと難しいものです。
伝えれば、社員は頷いて聞いてくれますが、それは「ただ聞いているだけ…鼓膜が振動しているだけと思った方が良いと思います。

では、どうすれば効果的に共有することができるのでしょうか。

ビジョン共有が難しいのは情報量の多さにあります。
そもそもビジョンとは「Visual」を語源としますで、未来の「その日」が絵でイメージできるものでなくてはなりません。
文字情報よりも画像の方が情報量が多いのは、お使いのスマホでファイルのサイズを見ると分かりますね。
もっと情報量が多いのは動画です。
有効なビジョンとは、未来が動画再生されるような情報量を持っているのです。

こう考えると、ビジョン共有の難しさがご理解いただけると思います。
リーダーは、あれやこれやと考え抜きビジョンを描きますので、その過程で相当な情報を蓄積しますが、社員は、それを言葉で聞くだけですので、リーダーと同じ理解をするはずはありません。

では、どうすれば良いか?

それはとりも直さず、情報量を増やすことです。
それは、社長から伝える情報を増やすのではなく「自分で考える量」を増やすことが肝要です。

その効果的な方法こそ「対話」ということになります。
「伝える」は一方通行ですが「対話」は双方向ですので情報量は格段に増えます。
対話のポイントは次の2つです。

1、質疑応答を根気よく重ねる。
2、リーダーが自分考えたイメージを社長に伝えフィードバックを受ける。

2に関して補足しますね。
ビジョンが動画で再生されるものであるなら、そこに動いているものが必要です。動くものと言えば「人間」です。
つまり、ビジョンが実現した時に、その恩恵を受け喜んでいる人のイメージを社員にしてもらい、それをリーダーに伝え、イメージのすり合わせを行うということです。

僕は、この手法を「彫刻手法」と呼んでいます。
彫刻が、土を加えたり削ったりしながら形作りますよね。ビジョンデザインも同様で、社員が自分のイメージを伝えたり、リーダーから「ちょっと違う」と削られたりしながらイメージが立体的に浮かび上がってくるのです。

例え話ですが、リーダーが言葉で伝えた段階では、2次元の六角形だったものが、対話を重ね彫刻することで3次元の六角錐が立ち上がってくるという感じです。

ビジョンは、一方的に伝えるほど薄まり、対話を重ねるほどに厚みを増します。
社員と対話しながら、少しずつ形にしていくその過程の中で組織の一体感と自発性が生まれるものだと考えていますので、是非、対話をしてみてください。
 

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