「社長のビジョン」が「我々のビジョン」になった時に起きる凄いこと
指示ゼロ経営は、そのネーミングゆえに「指示命令のない会社を目指す」とか「何でも社員さんと話し合って決める」といった誤解が多いようです。
指示命令のない会社をつくることが目標ではないですし、まして指示命令をしないと会社が良くなるなんてことはありません。
要点は、いい会社づくりに向かって、みんなで知恵を出し協働しているうちに「指示命令がなくなる」という現象が起きるということです。
というわけで、今日の記事では、もう1つの「何でも社員さんと話し合って決める」という誤解も解消したいと思います。
指示ゼロ経営=民主的な経営なので「みんなで話し合って決める」と誤解する方が多いのです。
しかし、そのやり方は民主的ではありません。
民主主義は、立候補者が掲げた公約を参考に選挙で決めますね。決して公約を市民が考えることはありません。
それと同じです。
ビジョンに関しては、まずは社長が考えるべきです。
社長が掲げたビジョンに共感した人が集まる。あるいは共感できない人は去っていくということです。
ビジョンをみんなで決めると「みんなにとって平均的に良い会社」しか作ることができません。すなわち、それは「誰にとっても魅力のない会社」ということです。
社長自身も魅力を感じない事業を、全リスクを背負ってやれるほど強くありません。
ビジョンは、まずは社長が考える。同時に、社員とビジョンについて対話することが重要です。
人は参画した分だけ物事を自分事にします。社長が掲げたビジョンに対し、自分で考えることで意義を見出し、我が事と捉えるようになります。
最初は「社長のビジョン」と言っていた社員が、気付くと「我々のビジョン」と言うようになるケースを僕は何度も見てきました。
と、ここまで指示ゼロ経営の誤解を解きましたが、さらなる課題は「そもそも魅力的なビジョンを描いている組織が少ない」ということです。
私たちは、子どもの頃から「これが正解」と解が決められている問題を解く訓練ばかりしてきました。
スウェーデンなどの教育先進国では、以前から「8+4=?」という課題ではなく「?+?=12」という、解が1つではない課題を与え思考力を鍛えてきました。
ビジョンを描く訓練を受けていないことに加え、人はそもそも未来をイメージすることが苦手という問題も重なります。
ディズニーランドのエリアの中で、最も運営が難しいのは、未来がテーマのトゥモローランドと言います。
この扱いづらい「ビジョン」というものに私たちはどう向き合えば良いのでしょうか。
そのヒントは、まさにビジョンという言葉の中にあります。ビジョンとは、文字通り、目を閉じれば未来の絵が広がるもの、さらに解像度が高まると動画のように再生されるものです。
つまり、そこには動きがあるはずです。
動いているものは何でしょうか?
そこには間違いなく「人」が登場するはずです。「顧客」「社員」「社員の家族」「自分」「自分の家族」など、登場人物が多いほど、動きは賑やかになりますし、仕事という狭い領域を超えた喜びが想像できるはずです。
「学習する組織」という概念を提唱したオットー・シャーマーは「U理論」の中で、関係性の深さを4段階で表し、その3段階目に「相手の感情を、相手が口にする言葉で表現できるほど気持ちを理解している」と説いています。
つまり、ビジョンの解像度を高める最も有効な方法は、登場人物を深く知ることということになります。
「誰が」「どんな喜びの言葉」を口にしているか?…それをリアルにイメージできれば、実現可能性はグンと高まるでしょう。
この作業には社員さんに参画してもらうと非常に効果的です。というか、社長1人では決められないですよね。
やってみると、これがなかなか難しいことに気付くでしょう。
しかし、だからこそ、それをクリアした時に、素晴らしい世界が広がると思うのです。
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