リーダーの年齢に応じ、最適なリーダーシップをデザインする
リーダーシップには「これが正解」という普遍的なあり方は存在しません。
状況、文脈によって理想のリーダーシップは変わります。
例えば、緊急時であればトップダウンで指示命令を出す必要がありますし、現代のように変化が激しく創造性が求められる時代であれば自律性を促すリーダーシップが有効です。
加え、リーダーの個性や資質、はたまた部下の能力も絡んできます。
緊急時だからといっても、トップダウンが資質に合っていない人ではリーダーシップは発揮できません。
どんなに優れたスキルがあっても、嫌なヤツでフォロワーがつかなければリーダーシップは起こりません。
部下の能力の成熟度によっても変わります。部下に実力があれば任せられるし、未熟なら指示が必要です。
つまり、リーダーシップとは、外部環境、リーダーの個性、部下の能力が織りなす「現象」ということです。
今日の記事では、もう1つの要件である「リーダーの年齢」について考察します。
よく「年齢は関係ない」と言いますが、人の能力は心身ともに年齢の影響を受けます。特に、経営では知的能力の影響が大きい。
知的能力は年齢によりどのように変化するのでしょうか。
米国の社会心理学者、ディーン・キース・サイモントンは、キャリアの生産性を集計した結果、20年目に生産性のピークを迎え、その後は急速に低下していく傾向を発見しました。
20歳から働き始めたとすれば、40歳以降はプレーヤーとしては劣化の一途をたどるということです。
この事は別の研究でも明らかになっています。
心理学に「流動性知能」と「結晶性知能」という概念があります。
「流動性知能」
新しい問題を柔軟に解決する力で、情報処理能力や論理的思考、記憶力などが含まれる。この能力があるとプレーヤーとして力を発揮できる。
「結晶性知能」
学習や経験により蓄積された知恵を概念化、体系化し、他者に分かりやすく説明する力。この能力があるとマネージャーとして力を発揮できる。
もちろん例外はありますが、一般的に流動性知能は若者に、結晶性知能は高齢者にアドバンテージがあるとされています。
後継者が40歳くらいまでは現場で活躍し、その後、事業承継を行う企業が多いのですが、とても理に適っているということになります。
ところが、最近では若くして起業し、流動性知能が真っ盛りの時にリーダーになる人がいます。
僕のように、先代の急逝で20代で社長に就任する人もいますね。
このようなケースではどのようなリーダーシップを発揮すれば良いのでしょうか。
これも文脈で変わるということですが、1つの解決策として、「リーダーが決めること」と「メンバーに決めてもらうこと」のウェイト配分を変えるという方法があります。
このことを「売上UP」のプロジェクトで説明します。
部下に、十分な実力があれば、最初から「売上UPのためにはどうすれば良いか?」という問いを立て、一緒に考えることができます。
部下が未熟な場合、リーダーが売上UPの大まかなシナリオを組み立てます。
例えば…
「イベントで新規客の来店を増やす」
「初回来店客にインスタをフォローしてもらう」
「初回購入から6ヶ月以内に3回の来店を促す」
「会員登録をしてもらう」
などといった大まかな要件はリーダーが考え、それぞれの実現方法は部下に考えてもらうようにします。
それでも負担が重いようであれば、リーダーも一緒にアイデアを考えます。
このように段階を踏み育てていくと、部下が育った頃には、リーダーが結晶性知能が発達する年齢に達しているでしょう。そうなれば「任せるリーダー」と「任すに足る部下」のベストマッチの完成です。
リーダーシップは状況と個性、さらに年齢特性などに応じて柔軟に形が変わるものですので、状況を観察して上手にデザインすることが大切です。
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