社長の望むものを社員も望んでいるか?「我々化」で自律型組織を加速させる

経営の要諦は「社長が望むものと、周囲が望むものを上手に統合すること」…そう痛感しています。
社長は望むが社員は望まないものだったら、一番、身近な協力者を得ることができず非常に苦労すると思います。
動きたくない人を動かすにはパワーが必要です。
自分に惚れさせるか自分を恐れさせるか?…それには多大なエネルギーが要りますよね?

短期的にはそれでも良いと思いますが長期的な繁栄には「望みの統合」が欠かせないと考えるのです。

社員1人1人の幸せから会社全体の繁栄に繋げる

もし社長が望むことを同じように社員が望んだら、社員の家族も望んだら、顧客も、地域も社会も望んだら、それはとても心強いし実現可能性はグッと高まります。

僕はこれを「我々化」と呼んでいます。
「みんなのものになる」と言い換えても良いと思います。
指示ゼロ経営を実現するために欠かせない視点です。
望むものなら言われなくてもやるもんね。

我々化のやり方は幾通りもあると思います。
例えば、社会に有益な商品やサービスを発案すると、社員はその実現を望みますし、社員の家族も誇りに思うでしょう。
ただし残業が多く、いつも家にいないと社員は一番大切な味方を失いますがね。
この方法では魅力的なビジョンのデザイン力が必須になります。
結構、難易度が高いやり方だと考えます。

他にも、社員の幸せを入り口にする方法があります。
僕は、多くの社長にとってやりやすい方法だと考えています。
社員の幸せを望まない社長はほとんどいません。
自分も幸せな人生を送りたいし、社員にもそうあって欲しいと願っているはずです。
だから、それを正直に伝えれば良いと考えるのです。

そもそも経済も経営もビジネスも、人が幸せに生きるために開発されたものですよね?
間違いのない事実です。
豊かな人生と仕事はクルマの両輪の関係だと思います。

これを宣言した会社では指示ゼロ経営が上手く軌道に乗ります。

1人1人が幸せな人生を送る…この大目的のために収益もチームワーク向上も研究開発も人材育成も、あらゆる事が大目的に繋がるからです。

仕事が、会社が自分事になる。

これを見事にやってのけた社長がいます。

我々化が進んだら、社長には手放す勇気が必要

その社長は岩手県一関市で染物店を経営する蜂谷悠介さんです。
来年、創業100年になる老舗ですが、最先端のシステムを駆使し、サイボウズ主催のアワードでフランプリを受賞しました。
出会いは蜂谷社長が指示ゼロ経営セミナーに参加された時で、その後、社内研修にもお邪魔しました。
今、たくらみ屋が最も注目している社長の1人です。

先日、たくらみ屋の相棒、森本繁生さんが講師を勤める「TOC研修」が一関市であり、僕もお邪魔しました。


森本さんは50名の大規模開催でも、1人1人が自己紹介をする時間を大切にします。
学びと共に交流・ご縁が人を育てると考えているからです。
その時の様子はこの記事を読んで下さい。

僕は蜂谷さんのスピーチに感動しました。
「紆余曲折あったけど、みんなの力でみんなの人生を豊かにする、そんな会社にしたい」
そして、こう言いました。
「手放す勇気が社長には要る」と。

「幸せな人生を!」なんて言うとキレイ事だと捉える人もいると思いますが、言うだけならキレイ事ですが実現は甘くありません。
実際に僕を含め、ほとんどの人は「貧乏だけど幸せ」とは思えないですよね?
物心ともに豊かになる…それをみんなの力でやろうと言うのです。

当然、スタッフは会社を、仕事を自分事とし自発的・自律的に動くようになります。
よく学ぶようになります。
今回のTOC研修にもスタッフさんが来られていましたが、すごく熱心でした。
京屋さんでは業務改善はもちろん給与も社員が決めています。
望みの統合ができているから可能なのです。

集団は社長のコントロール下から解放され自由に動きますが、社長はそれが怖くなるのです。
僕にも経験がありますが本当に怖いです。

もしチームが自律的に動き出した時に、社長がダメ出しをしたらスタッフは「もう二度と自発的に動くまい」と思うでしょう。

恐れは「自分のモノにしたい」というエゴから生まれます。
それを手放す。

蜂谷さんはそう言ったのだと僕には分かりました。

経営の要諦は「社長が望むものと、周囲が望むものを上手に統合すること」
そして、我々化が進んだら、社長の心に生まれる恐れと上手に付き合っていくことが大切だと考えています。

いや〜、経営は修行ですね。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!

【一関市でTOC&指示ゼロ経営セミナーをやります!】

京屋の蜂谷悠介さんもゲスト講師で来られるので、生々しい話しが聞けると思います。
もちろん僕も語りますよ。
詳しくはこちらを御覧ください。
http://www.kokuchpro.com/event/tocshijizero20180619/