褒めるだけでは人は育たない。「厳しい言葉」の上手な伝え方

部下に厳しいことを言えない管理職が増えているようです。
「ALL DIFFERENT株式会社」の調査によると、管理職の大多数が「部下へのフィードバックに躊躇した経験がある」と回答しました。
まあ、躊躇しないほうが珍しいわけで、決して異常値ではないと思いますが、ネガティブなフィードバックに気を遣うことには変わりはありません。
特に、最近では、定年の延長や再雇用が進んだことで「年上の部下」が増えていますし、パワハラに神経質になっている人が多いので余計に気を遣いますよね。

そんな背景から「褒めて伸ばす」ということが言われるようになったわけですが、ポジティブフィードバックだけでは人は育ちません。
成長とは、思考が変わるということで、そこには従来の思考の破壊が必要であり、そのためには、なにかしらのネガティブフィードバックが必要です。

(以下、ネガティブフィードバックを「NF」ポジティブフィードバックを「PF」と表記します。)

PFだけでは人が育たないどころか、人をダメにしてしまいます。

PFと言えば、AIかキャバクラ嬢です。
AIに相談すると「とても良い視点ですね」とか「とても本質を突いた質問です」などと、やたらと持ち上げてきますよね。
その褒め方たるや、もはや「おべっか」のレベルです。

科学誌『Science』に掲載されたスタンフォード大学の研究チームによる論文には、AIの「おべっか」が人をダメにする実証実験が示されています。
不道徳なことでも「素晴らしいですね」と言われることで、自己正当が強化されます。すると、やがて倫理観の崩壊や判断力の鈍化が進み、社会生活に支障をきたすというのです。

被験者は、自分の誤りを指摘して視点を広げてくれる存在よりも、自分を盲目的に肯定してくれるAIに対して「質が高く、頼りになる存在である」と高い評価を下したと言います。

同じことが職場で起きたら怖いですよね。
成長が阻害されるだけでなく、ダメ人間になってしまっても自省することなく、他者や環境のせいにするような人が育ってしまいます。

多くの管理職がNFを躊躇する背景は、冒頭でお伝えしましたが、そんな時代において、どのようにNFをすれば良いのでしょうか。

立教大学の中原淳教授は、著書「フィードバック入門」の中でその秘訣を説いています。
まず、日本人はNFに慣れていないので、NFを1つ行うのに対し、PFを3つ行うという比率で接すると、受ける側の心理的負担が軽減されるそうです。

また、タイミングも重要で、フィードバックが早すぎると、相手の受け入れ体制ができておらず、心を閉ざしてしまいます。
とはいえ、遅すぎると「今さら何よ?」となる。

また、これは別の知見ですが、NFは「PF→NF→提案→ア イメッセージ」の形で伝えると受け入れてもらいやすくなると言います。

例えば、空気を読まずに突っ走り周囲に迷惑をかける部下がいたとします。
これを法則に基づきフィードバックすると…

「積極的なことは素晴らしいと思う。しかし、周囲が見えなくなることがあるのも事実だ。そこを改善し仲間の意見を聞けるようになれば、賛同者が増えてもっと上手くいくと思う。そうなったら、こんなに嬉しいことはない」

う〜ん…
たしかに上手ですが、やはりNFが入ると躊躇する方が多いのではないでしょうか。
もし、NFを伝えられるとすれば、そこに確かな信頼関係が必要です。そして、信頼関係の礎は、相手の成長を心から願う気持ちです。
相手を思う気持が、嫌わる恐れを超えた時に、NFができるようになるのだと思います。
そして、それが新たな信頼関係を築く。
本当の優しさとは、厳しさの中に宿り、時に痛みを伴うものなのかもしれません。

あ、なぜ「PFと言えばキャバクラ嬢」かとういと。
あの世界には「接客のさしすせそ」なるものがあるそうです。
「さすが」「知らなかった」「すごい」「センスいい」「そうなんですね」
AIの上を行っていますね 笑。
 
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