企業は世界をつくり、顧客はその住人になる。
僕が経営支援に入っている企業で、「世界観づくり」に取り組んでいる会社があります。
製品・サービス自体に大きな差異がなくなった今、世界観の醸成は企業にとって大きな課題になりつつあります。
世界観ができると、企業はブルーオーシャンを作り出す可能性があるんですよね。
世界観が際立っている企業の代表格はディズニーですが、変わったところで分かりやすいのはドン・キホーテです。
何とも言えない、独特の猥雑な世界観がありますよね。
企業が世界観を発揮すると、それにマッチした「らしい」お客様が集まります。「ドン・キホーテにいそうな人」と言えば、「ああ、ああいう人ね!」とイメージできますよね。
顧客は単なる商品・サービスの購入者ではなく「世界の住人」になり、住人であることに心地よさと誇りを感じるようになります。
顧客が世界観のが住人であるならば、世界観の提唱者は「建国者」になります。建国者は哲学を持ち、自分が理想とする世界を建国します。
では、世界観はどのように醸し出されるのでしょうか。
まず譲れないのは、世界観はたった1人の人間が、100%自分の願望で創ることです。
顧客の意見を聞いてもいけません。
「どうすればウケるか?」「何が正解か?」と考えると、無難なものしかできないからです。
以前に、「カリブの海賊」のアトラクションには、結構な数の苦情が来るということを、オリエンタルランドの社員さんから聞いたことがあります。
苦情の内容は「怖い」「残酷だ」といったものだそうですが、その社員さんは「顧客の意見を聞いていたら、プーさんしか出せなくなる」と冗談交じりに言っていました。
僕が支援に入っている企業は「和のあるくらし」という世界観を表現しようと奮闘しています。
同社の思想は、単に「生活空間に和がある」という浅いものではなく、目に見えない哲学的な文脈を有しています。
しかし、ゆえに、社員と共有するのが難しいという問題に直面しています。
どうすれば世界観を共有することができるのでしょうか。
同社では「彫刻手法」で取り組もうとしています。
彫刻手法とは僕の造語なのですが、キリスト教神学で、神を理解する上で実践されている「否定神学」を応用したものです。
人間がいくら「神とはなんぞや」と考えたところで神は理解できない。そこで「これが神ではない」という否定的な視点からも神の実像を浮き彫りにするというアプローチです。
否定=削る。
肯定=盛る。
このプロセスが彫刻のようだということで命名したのです。
「和のあるくらし」は…
デジタルではない。
石油ストーブやエアコンは極力使わない。
芸能人で言えば叶姉妹ではない。
お花はコスモスではない。
アナログに囲まれている。
薪ストーブを使う。
著名人で言えば養老孟司さん。
植物は山野草。
彫刻作業を積み重ねることで、世界観が立ち現れてくるのです。
映画「007」を時代の変化に合わせアップデートしようという議論が起きた時も、彫刻手法に似た手法がとられました。
その結果、車はアストンマーチンからBMWに変わり、スーツも伝統的なテイラードから、少しカジュアルなイタリアンスーツになりました。
その勢いで、「ずっとスキーの名手ということになっていたが、思い切ってスノーボードをやらせたらどうか?」と言い出した人がいたそうですが、フリークであれば、明らかに世界観からズレていることが分かりますよね。
現代は、機能ではなかなか差をつけられない時代になっています。
そんな時代において、世界観は独自のブルーオーシャンをつくる可能性を秘めていると思います。
どんな職種にも応用できると思いますので、考えてみてはいかがでしょうか。
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