なぜ“小さな店”は生き残り、“中くらいの企業”は消えるのか
長野県の松本市は、イオンモールの進出をキッカケに、町並みが大きく変わりました。
この話をすると、ああ、よくある『大型店が地元商店を駆逐した』という話でしょ?と言われますが、少し事情が違うのです。
「大きくて便利なイオンモール」と「小さくて個性的な店」が共存していると同時に、PARCOや地場デパートなど、中途半端な企業が撤退を余儀なくされているのです。
これと似た光景は地方都市で多く見られるようになりました。
・駅近くにあった地元デパートやイトーヨーカドーなどが潰れ、跡地がゴースト化している。
・量販店が、イオンモールにテナントで入っている。
・小さく個性的なお店は裏路地で頑張っている。
この構図は、地域を問わず、ますます加速すると考えられますが、背景を探ると、今後の経営の指針となる大事が観えてきます。
「V字の谷」と言う言葉をご存知でしょうか?
売上高と利益率、それぞれを軸にグラフをつくると、売上高が小さい(規模が小さい)企業と売上高が大きな企業は儲かるが、中途半端は儲からないという分布が見えるのです。その分布を線で結ぶと、中規模企業の業績が極端に凹む「V字」になることから名付けられました。

V字現象は、生活者の行動を見ると自明のことと理解できます。
松本市の事例を引けば、イオンモールに行く人は、「買うものが決まっている人」と「無目的で行く人」に分かれます。
前者にとってイオンモールは非常に便利なので栄えています。
一方、後者は「人が集まるから」という理由で来店します。店内を回遊するが、特に何も買わず、クルマを停めたまま周囲にある小さく個性的なお店に行きます。そういうお店は、顧客を魅了する「尖り」があり、思わず何かを買ってしまうのです。
例外はありますが、生活者は、消費材(生活に必要なモノ)は大きな企業から買います。自分に何が必要かを分かっているので、できるだけ品揃えが豊富で安く買える店を選びます。
一方、自分の生活を文化的に彩るモノやこと=「文化材」は、比較的小さなお店で買う傾向が強まっています。生活材と違い、顧客は自分が欲しいものを知らないことが多い。だから、提供されて始めて「そうそう、こういうものが欲しかったの」と自分が欲しいものに気づくのです。
小さなお店には、そういう提案力を持ったところが多いのです。
また、そういうお店での購買は、消費の性質を変えます。
生活を創るという性質を持っているので、彼らは消費者というよりは、暮らしの「生産者」と言うことができます。
この関係になると、売り方が「買ってください」というお願いから、「こういう生活を創りませんか?」というお誘いに変わります。
関係性は「取引」から、メーカーと販売者と顧客は対等な関係、豊かな生活を創る「共同生産者」になるのです。
こうした商いこそが、中小企業が活躍する領域だと思います。なぜならば、文化的な豊かさは非常に多様なので、画一化された大量生産体制で勝負する大企業では対応できないからです。
大企業が担う消費財が、パイを奪い合うゼロサムゲームなの対し、中小企業が担う「文化材」は、クリエイティブさえあれば無限に創造することができます。
「何を売るか」ではなく、「どんな生活を共につくるか」…この視点に立った瞬間、顧客は消費者ではなく同志になる。
中小企業には、世界を創る可能性ががある。僕はそう信じています。
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