人と組織はなぜ変わりたがらないのか?…惰性から脱却する行動学
新しいコトやモノに抵抗なく飛びつく人を「イノベーター」と呼びますが、彼らの存在比率は3%ほどだと言われています。
97%の人は、新しいことに抵抗感を示すということです。
だから、リーダーが新しい取り組みに挑戦する時には、97%の反対にあうと覚悟した方が良いということになります。
リーダーであれば「なんて消極的なんだ」と嘆きたくなりますが、そもそも、そういうものと割り切るしかありません。
それよりも、抵抗のメカニズムを知り、冷静に対応することが大切だと思います。
僕が参考にしている知見は、ロレン・ノードグレンという学者が提唱する変化への抵抗要因です。
それによると、新しいアイデアの受け入れを拒む抵抗要因には次の4つがあると言います。
・「惰性」:自分が馴染あることに留まろうとする欲求
・「心理的反発」:変化を強要されることに対する反発
・「労力」:変化を実行するために必要な努力やコスト
・「感情」:提示された変化に対する否定的な感情
今日の記事では、この中の「惰性」について、僕の経験を踏まえ対策を考えたいと思います。
新しいモノやコトを取り入れなくても、今、特段困っていなければ人は変わろうとしません。
定期的に歯医者に行き、歯石をとった方が良いことは知っていますが、特に歯が痛むわけでなければ行きませんよね。
成熟社会を生きる現代人は、「給料が上がらない」とか「物価が高い」など、文句を言いながらも、それなりに幸せな毎日を送っています。
特別に変わる理由がなければ、現状維持を好むのが人間の性というもの。
この傾向は行動経済学の「コインの実験」で明らかになっています。
1、コインを投げて表が出る→100万円をもらえる。
2、裏が出る→50万円を失う。
3、ゲームに参加しない場合、無条件に20万円がもらえる。
3つの選択肢を与えると、多くの人が3を選ぶそうです。
これと同じことが企業でも起きています。
すなわち、挑戦すれば一攫千金のチャンスがあるが、失敗すれば損失を被る可能性もある。しかし、挑戦しなくても、しばらくは今の給料が維持されるという状態です。
私たちは、この手強い性質をどう扱えば良いのでしょうか。
その1つに、「惰性」が、馴染あることに留まろうとする欲求から起きるのであれば、それを逆手に取り「新しい取り組みを馴染のものにしてしまう」という方法があります。
例えば、指示ゼロ経営という言葉を聞いただけで「無理無理」と言う人がいますが、そういう人に対しては「学園祭の時のクラスの結束と同じですよ」と伝えると、多くの人が聞き耳をもってくれます。
他にも、経営計画立案に対しては、「カーナビみたいなものです。現在地と目的地を設定し、行き方(ルート)を考えるということです」と伝えます。
あるいは、ノードグレンの研究によると、「馴染のもの vs 新しいもの」という比較構図から脱することも有効だと言います。
例えば、馴染のものの他に「新しいA案」と「新しいB案」を用意するだけで抵抗が軽くなると言います。
店頭で迷っているお客様に対し「買うか買わないか?」を迫るのではなく「AとBどちらがお好きですか?」と聞く店員さんがいますが、それと同じです。
変化への抵抗は、人間のごく自然な性質です。
リーダーがその性質を理解し、無理に変えようとするのではなく「どう馴染ませるか」を設計することが大切なのではないでしょうか。
これはマーケティングにも社内マネジメントに活用できる知見ですので、是非、応用法を考えてみてください。
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