計画が「絵に描いた餅」で終わるなら、計画を大雑把にしてみる

綿密な事業計画を立てたはいいが、途中で計画通りに進まず、計画を作り直しているうちに年度末を迎えてしまったという経験はないでしょうか。
そうだとしたら、原因は実行の問題ではなく、「計画の問題」かもしれません。
それは、計画の精度が低いということではなく、むしろ逆で「作り込み過ぎている」ということです。

正解がなく変化が早い時代では、先が見えないので、計画通りに行かないのは当然のこと。完璧な計画に依存していると、年がら年中計画ばかり立てていて、実行ができないというがんじがらめに陥ります。

僕にも、このような経験があり、そこから学んだことは「計画は、実行しながら少しづつ修正し、精度を上げていく」というアジャイル的な運用方法です。

話は代わりますが、サグラダファミリアには設計図がありません。
ガウディが設計図を作らなかった理由は、長い建築中に、人々の美意識の変化や建築技術の進歩が起き、計画が陳腐化することを知っていたからです。

「やっているうちに環境が変化する」ということで言えば、今ほど当てはまる時代はありません。

スタンフォード大学の研究チームが、コンピューター関連の開発チームを調べたところ、成功したチームほど、計画にかける時間が少なく、実行に時間をかける傾向が強いことが浮き彫りになりました。

これは短い時間で素晴らしい計画を立てたということではなく、実行しながら少しづつ修正していったということです。

僕が経営してきた新聞店は、15年前は普通の新聞屋でしたが、今は、行政から指定管理業者の認可を受け、地域づくり事業やホテルの経営を行っています。

これは、15年前に立てた計画が成就したということではありません。
当時は、沈みゆく新聞業界にあり、何をしたら良いか分からず右往左往していました。

ただ1つ分かっていたことは、「商売は本質はお客様に喜ばれること」ということでした。
そこで、とにかく喜ばれることは何でもやろうということになりました。
今よりも1つ上の心地よさを提供する「モア心地よさ運動」を立ち上げ、新聞配達員から事務員、営業社員に至るまで全社的に取り組みました。

例えば、新聞配達部門では、独居老人宅に前日の郵便物が残っていないか確認をしながら配達をし、異常を察知したら民生員や警察に連絡をする安否確認サービスを開発しました。

この運動により、地域のお客様と人間関係ができ、様々な相談を受けるようになったのですが、相談内容を分析すると、生活者個々ではなく、地域の課題であることが浮き彫りになりました。
しかし、課題が多様であるがゆえに、行政の一極集中型の施策では解決できません。

そこで、「地域で指示ゼロ経営をやって、地域の人たちが自律的に解決する」というアイデアが出て、地域づくり事業に至ったというわけです。

偶然の出会いにより誰も想像だにしなかった未来が拓けたのですが、これは、計画に縛られずに自由に動いたからこその賜物です。

計画が「絵に描いた餅」に終わってしまう場合、計画の精度を高めずに、粗くするという方法が有効かもしれません。
.
※「記事が面白かった」という方は、是非「読者登録」を!読者優先セミナーや無料相談など、登録者限定の秘匿情報が届きます。


❚指示ゼロ経営を学びたい方へ

25年間に渡る実践と研究知見を様々な形で公開しています。 これまで、企業や教育機関などで1万人以上が学び実践しています。

指示ゼロ経営を学ぶ、お勧めのステップ

お好みのステップだけお選びいただくこともできます。