創造性や自発性は、部下に要求するほどに逃げていく

「早く寝なきゃ」と思うほどに目が冴えてしまうことってありますよね?そんな時は、むしろ、寝るのを諦めて別のことをしていた方が眠くなるものです。

人生には求めると遠ざかるものがあります。
経営においても、「創造性」「自発性」といった重要なものほど、社員に求めると遠ざかるという性質があります。
「なろう」と意識している時よりも、何かに夢中になっていたら、結果的に発動していたというものです。

特に2000年代に入ってから、「求めると遠ざかる」という傾向が顕著になったと思います。
それ以前は、頑張れば手に入った案件が多かったのです。
例えば、新聞の営業の世界では、洗剤やビール券を手に、頑張って1軒でも多く訪問した人が成果をあげました。
「歩く」とは「止めを少なくする」と書く…つまり、とにかく「お客様のところに足繁く通えば、契約解除を減らせる」ということを言う人もいましたが、そんな迷言に説得力を持つ時代があったのです。

行動量が成果に直結するフェーズでは、「アメとムチの使い分け」が有効です。
「購読契約1件につき1万円」といった報酬を用意し、成果を上げれば報酬をあげるが、上げられなかったら「報酬なしという罰」を与えるという手法です。
こんな雑なやり方でも、必死で頑張れば報われたのです。今、こんなやり方をしたら、文字通り「必死」…一巻の終わりですね。

こうした手法が通用しなくなった理由は、モノが飽和した時代に入り、生活者は「何を買うか?」ではなく「何も買わない」という選択肢を持つようになったからです。その気になっていない人に、どんなにアプローチしても迷惑がられるだけです。

量より「質」への転換が必須で、そのための第一歩は、長く続けてきた「頑張りの強要」を終わりにすることだと考えます。

代わりに必要なのは、「寝るのを諦めて別のことをしていたら眠くなった」のと同じような状況設定です。

最近「頑張ってね」の代わりに「たのしんでね」と言う人が増えたように感じています。しかも、デキる人ほどそう言うのです。
僕は、脳内で、それを「愉しんでね」と文字変換しています。楽しいとは違う、もっとディープな愉悦を感じるからです。

愉しさは「創造性」や「自発性」を誘発します。

では、どうすれば仕事は愉しくなるのでしょうか?

□自分たちが意義を感じる、かつ簡単でもなく無理難題でもない、適度な難易度のミッションががあること。
□自分たちで決め行動できること。
□自分たちで決めやったことのフィードバック(変化・成果)をできるだけ早くキャッチできること。

こんな要件がヒントになるのではないでしょうか?

寝るのを諦めて別のことをしていた、気付けば「夢の中」…夢中になっていたというマネジメントです。


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