豊かさの定義が変われば、当然、経営も変わらざるを得なくなる

2023年、最後のブログです。
僕にとって2023年という年は集大成の年でした。
新刊「賃金が上がる!指示ゼロ経営」で、「モノの豊かさから、心の豊かさへ」という命題に挑戦しました。

豊かさって何でしょうか?

国の豊かさを測る指標はGDPとされていますが、もうすでに豊かの指標にはなっていないと思います。

GDPの伸長には、大量生産・大量消費・大量廃棄が貢献します。
生活者が使い捨てをするとGDPは上がるのです。

現代人に、そのあり様を豊かだと思う人はいるのでしょうか?

大量生産は、分業による管理体制のもとで行われ、働く人が機械のように扱われる傾向があります。
短期的な生産性は上がりますが、一方で、働く喜びや充実感は毀損されます。その最たる理由は、業務の一部分しか担当していないと、自分が顧客のお役に立っているという実感が得られないからです。

こうした働き方でもらう賃金は「お駄賃」の性質を持ちます。

僕が新刊で主張したことは、賃金を「おひねり」にしようということです。
これは中小企業に希望があります。

規模が小さいことで、分業で割り当てられた自分の領域だけでなく、全体を見えるようになります。
顧客の顔も見えます。
すると、顧客に喜ばれた時に、「自分が貢献した」という悦びを得やすくなります。


顧客との人間関係ができると、「もっと喜ばれたい」という思いが生まれます。

顧客の側も、売り手の人となりが分かると、感謝や応援の気持を寄せるようになります。
商いがギブ・アンド・テイクの関係を超え、ギブ・アンド・ギブの関係に昇華するのです。

こうした関係でやり取りされるお金は、賃金を含め「おひねり」になります。

「おひねり」は、もらう側も嬉しいのですが、実は、与える側が幸せなのです。
他者に感謝と応援ができるというのは、究極の幸せですから。

生活者が使い捨てをするとGDPは上がります。
生活者の数(人口)が増えれば、GDPはさらに伸びます。

もう、そういう時代ではありません。
GDPは、豊かさの1つのモノサシに過ぎないのです。

他にどんなモノサシを置きますか?
心がニュートラルになる年末年始に「豊かさ」について再考してみてはいかがでしょうか。

それでは、良いお年をお迎え下さい。