チームワークを「組織のために」と求めると上手く行かない理由

一致団結とか一枚岩といった言葉が会議や決起大会などでよく出ます。
おじさんが大好きな言葉の1つですね。
そこでハチマキ巻いて「やるぞ!やるぞ!やるぞ!」なんて叫ぶと、何とも言えない高揚感を感じます。
昭和の人間ですね。

アトラクションとしては上等だと思いますが、一枚岩を実際に実行すると、今の時代、上手くいかない事が多い思います。
その理由は、個々の自由が制限されるガチガチの組織になり、組織から創造性と自律性が失われるからです。
そういう組織を嫌というほど見てきたもん。

今日は、自由意志に基づく闊達なチームワーク、一枚岩ではないチームワークについて考えたいと思います。

一枚岩では自由闊達な活動はできない

社会学者である山岸俊男先生の著書「日本の『安心は』なぜ、消えたのか」によると、日本のコミュニティーは村社会から発展したそうです。
これは直感的に分かりますよね?
村社会のことを集団主義社会と言います。

この組織形態は集団に尽くすことを美徳とします。
個人の利益よりも集団の利益を優先しなければいけません。
一方で、集団のためなら不正を働くことも厭わない傾向があると言います。

また、連帯責任を重視します。
連帯責任の文化は不正を隠蔽する温床になります。
組織のために不正を働きますが、バレそうになった時に、連帯責任ゆえに「周りに迷惑をかける」と思い報告をせず手遅れになるのです。
人が善良であるがゆえに起こる不祥事というわけです。

よくニュースになる企業の不祥事がこのケースだと思います。
傍から見ると「何で、そんなバレることを」と思いますが、背景にはこんな事情があるのだと思います。

集団主義集団は個々の自由意志を阻害するので創造性は発揮されづらいのですが、成長期では抜群に組織力を発揮しました。
組織的にタスクを積み重ね一気に突破するのには向いています。
しかし、今は、変化が激しい上に顧客の欲求が個性化しています。
現場でのジャッジが求められるわけですが、それは一枚岩の性質とは真逆にある…個々が組織ではなく目の前の顧客を見ないと実現しません。
フリースタイルです。

だから、成熟期に入った今は、組織の文化そのものを変えなきゃいけないと思うのです。

社長の挨拶で「え〜、これからの時代を生き抜くためには〜、従来の発想にとらわれずに〜、自由な発想が求められるとともに、え〜、一枚岩となって取り組んでいく…」なんて行っている場合じゃないと思います。

自由闊達な活動は一枚岩ではできない、そう考えています。

その時、その場、そのメンバーで創造していく経営

フリースタイルの組織の特徴は、個々が自由闊達に行動しています。
自由意志で決断しノビノビと行動します。
発言は自由で、組織として幸せにすべき相手の事を常に考え、その時に最適な発案をします。
なので、予定調和でことが進むことはありません。
つまり、混乱と表裏一体です。

混乱を経過した後に、絶妙な調和が生まれます。
これはJAZZのジャムセッションに似ていると思います。
基本的なコード進行だけ決めてGo!
1人1人が自由に演奏するので最初は合いません。
しかし、続けるうちに誰に合わせるわけでもなく合ってくるという不思議なハーモニーが生まれます。

その時、その場、そのメンバーでしか生まれない創造物が誕生します。
鳥肌モノです。

ビジネスの現場はここまで動的ではないと思いますが、本質は同じだと思います。
例えば、接客の現場で、目の前の顧客、状況に応じて即興でサービスを開発するようなものです。
おもてなしってそういうものだと思います。

社会が動的だから、組織も動的な方が良い。
時代が変わりビジネスモデルの転換が迫られた時に一枚岩だと、それを壊してから作り直さなければなりませんが、その手間と苦労、かかる時間は相当なものです。
特に外部環境の影響を受けやすい中小企業は、動的な経営が求められると考えています。

組織が主でメンバーが従という関係ではなく、その逆だと思います。
急な来客(変化)があった時に、冷蔵庫にあるもの(今いるスタッフ)で、客が喜ぶ料理をつくるようなもの。

それは、個を滅したチームワークでは不可能だと思います。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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