「主体性を持て!」って、これほど馬鹿らしい指導はない

人は意義ある事を任された時に主体的になる

よく「やらされじゃダメだ」と社員を指導する社長がいますが、これほど馬鹿らしい指導はないと思います。
これって「仕事を楽しめ」と言うのと同じくらい無理がある指導です。

違う例えの方が分かりやすいかもしれません。
「幸せになれ」と言われてなれるものではないですよね?
幸せはその人の心の内面で起きる作用です。
勝手に湧き上がる感情だから強制されてなれるものではありません。

ところが、どういうわけか強制する人がいます。
「やらされじゃダメだ」
「仕事を楽しめ」
「感謝の心を持て」
「愛社精神を持て」

無理な要求です。

ある環境に身を置けば勝手に湧き上がるのだから、その環境を創ることがリーダーの仕事だと思うのです。

人は意義があることには主体的になります。
主体性は任されることでしか発揮されません。
だから、自社の商売を意義あるものにし、その実現に社員さんに参画してもらい任せることが何よりも大切だと考えます。

ある自動車整備会社でこんな「事件」が起きました。
それまでこの会社は自社の商売を「クルマを整備する」と捉えていました。
しかし、ある時、社長がそうではない事に気づきました。

「お客様の生命を守る仕事だ」と。
医者や薬剤師、警備会社などと同じ仕事なのだと。

仕事の主となった自動車整備士

社員さんにもそれを伝えました。
が、最初は「へ〜」ってなくらいの反応だったと言います。

しかし事件が起きました。
生命を守る仕事と定義したら、それを実現するサービスが生まれたのです。
教室を開き、素人でもできる安全運転のための工夫を教えました。

講師は社員の整備士です。
質疑応答の時間に、参加者が整備士にこう言いました。

「先生、質問があるんですが…」

先生先生先生…(心のつぶやき)

この瞬間に自分の仕事の意味付けが変わりました。

こうなると最強です。
教室のプログラムを、より良いものにするために自分で考えるようになりました。

僕はこの状態を「仕事の主」と呼んでいます。
やらされではなく自らが仕事の創造主となる状態です。
意義あることに対し、自ら決め考え行動する仕事人です。

それまでは会社に行くと仕事が待っていて、それをやっつける「やらされ」だったのが、その環境に身を置いたら仕事の主になったのです。

素晴らしいですよね?
主体的になり、仕事が楽しくなり、会社や仲間への感謝の気持ちが芽生え、会社が好きになった。

どんなに社長が指導してもなれない姿に、自らの力でなった。
環境設定の賜物だと思います。

「人は自らの意思でのみ動く」…この原則に則り、そうなる環境を創ることがリーダーの役割だと考えます。

それでは今日も素敵な1日をお過ごしください。

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