社内に助け合いや学び合いが起きない場合、賃金制度が原因と疑ってみる

僕は、個別の評価制度には限界があると感じています。
その理由は、2つあります。
1つ目は、組織が成果を上げるためには、個々の能力が複雑に絡み合うから、それは非常に複雑系でほぼ人智を超えた最適化で成り立っていることがあります。

もう1つは、部分最適に陥る危険性があることです。
相対評価の場合、相手が上がれば自分が下がります。評価が賞与や昇給に反映される場合、助け合い、学び合いは破壊され「チームとしての」総力が下がるからです。

僕は、20年ほど前に成果主義を導入し、社内が空中分解寸前になりました。
そこで、思い切って評価を止めましたが、その方が断然、上手くいきました。

今日は評価制度について考えたいと思います。

自分の報酬を増やすことに意識が奪われると全体最適が阻害される

通常、評価制度は同じ等級で同じ職務の場合、統一の項目で行います。
例えば、営業職の場合…

・顧客と綿密なコミュニケーションをとり、良好な関係をつくったか
・営業で得た顧客ニーズ、市場情報をまとめ、商品を提案し、成果を上げたか

・効率的に計画を立て、遂行したか
・情報を収集し 社内で共有化、浸透させることに努めたか

こうした項目で評価しますよね?
これは、個々人が完全体になれば全体で成果を上げることができるという考えに基づきます。

しかし、現実はそんなに上手くいきません。なぜなら、人はそもそも不完全な存在だからです。
得意もあれば苦手もあります。
だから、それらを互いに補い合い「全体が完全体になること」…全体最適を目指した方が合理的だと考えるのです。
評価が処遇に反映されると全体最適に意識が向かず、自分の評価を上げることに意識が集中するのは当然のことです。

経営コンサルタントの、故・一倉定先生は「インセンティブ(成果報酬)は即刻廃止せよ」と言いました。
自分の報酬を増やすことに意識が奪われ、全体最適が阻害されるからです。

さらに、チームのワークは、刻一刻と状況が変わる中で様々な役割が生まれ、状況に応じて役割が変わっていきます。

評価をするならチーム単位ですべし

例えば、何かに取り組む時に、まずは真っ先に行動するイノベーターがいます。
その人の役割は「集団を起動されること」です。
もしかすると、その人は不器用で仕事はデキないかもしれません。

イノベーターに続きフォロワーが現れます。
彼らが現れた瞬間にイノベーターは孤独ではなくなります。

思慮深いマジョリティーは、イノベーターとフォロワーの行動をじっくりと観察して、意見を出します。合理的な意見、アイデアを出す「しっかり者」が多いと思います。
もしかすると「積極性に欠ける」と評価されているかもしれません。

意見やアイデアをまとめる存在も必要ですし、反論する者も集団が変な思い込みに縛られるのを防ぐために必要です。
衝突が起きた時に緩和する「ええヤツ」もいます。

最後まで乗ってこない人もいるでしょう。
きっと評価が悪い人ですが、集団には必ずそういう人がいるものです。
彼らがいないと、集団が地獄にまっしぐらに落ち全滅する可能性があります。

優れた集団は、こうした役割が刻一刻と変わる状況の中で自律的に生まれ、変化に対応します。
記録が不可能な、まさに生態系、人智を超えた活動だと感じています。

集団のメカニズムを知ると評価制度に限界を感じたのでした。

僕が経営してきた会社は本社のみです(支店がない)
だから、1つの機能体である本社、そのものを評価したので評価制度が不要と考えたのです。

大きな組織の場合、チーム単位で評価するという方法があると思います。
マイクロソフト社は数年前に個人評価をやめチーム単位での評価に切り替えましたが、同じような意図があったと推測しています。

評価制度がすべて悪い、と考えているわけではありません。
部分最適に陥るような制度ではないか?そんな疑いを持つことが大切だと考えるのです。

一度、チェックしてみてはいかがでしょうか?

それでは今日も素敵な1日をお過ごし下さい!

 


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米澤 晋也

米澤 晋也

1971年長野県生まれ。株式会社Tao and Knowledge代表 株式会社たくらみ屋代表 一般社団法人夢新聞協会理事長。
指示・命令をしなくても自分たちで課題を発見し行動できる組織「指示ゼロ経営」を提唱する。
1人1人が自由に行動し、創造性を発揮しながらも調和する、Jazzのジャムセッションのような組織です。
特に2代目、3代目経営者が自分の組織を創るための実務を得意としています。
著書に「リーダーが『何もしない』とうまくいく」がある。

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