未来をつくる仕事は、それに適した組織形態で。

仕事には「ルーティン業務」と「未来をつくる仕事」があります。
緊急性と重要性のモノサシで検証すると、前者は、比較的「緊急性が高く重要性も高い」に、未来をつくる仕事は「緊急性はないが重要性は非常に高い」の領域に当たります。

企業は、この2つを同時に進めなければならないのですが、ここで大きな壁にぶつかります。
それは、それぞれの遂行に適した組織形態が違うということです。

ルーティン業務は、仕事の割り当てと管理が重要なので、下の図のように、上司と部下がツリー状につながったトップダウンがやりやすいのです。
上司と部下の間の関係は「取引」という性質を持ちます。

一方、「未来をつくる仕事」は、正解も前例もないため、非常に豊かな創造性が求められます。また、前例がないから試行錯誤を繰り返し前進するしかありませんので、自律性の高い組織が求められるのです。

組織には、この2つの組織運営が必要で、上手に使い分ける必要があります。
ところが、多くの企業がルーティン型の組織で、未来をつくろうとしてしまうんですよね。
リーダーが計画を立て、部下に仕事を依頼し、報連相を通じ、結果を検証し軌道修正します。
要するにリーダーが主導してPDCAを回すわけですが、これをやると、部下はリーダーがつくり出す変化に振り回されて疲弊していまいます。
やがて、リーダーに、一貫性がないだの、朝令暮改だの不満を持つようになります。
みんなが疲弊し、人間関係にも暗い影を落とす危険性があるのです。

前例がある仕事なら、経験豊富な上司が答えを持っています。しかし、前例のない仕事は、上司も答えを知りません。にもかかわらず、上司が考え部下は従うという構図では、課題に太刀打ちできません。

なので、未来をつくる仕事では、自分たちで課題を設定し、みんなで知恵を出し、協働で遂行することが求められ、それに適した組織をデザインする必要があります。

それが下図のような「集団参画型組織」です。

ビジョンやミッションはリーダーが提示する必要がありますが、具体的な計画はメンバーが参画し立案、役割分担も自分たちで決めます。
こうすることで、集合知(三人寄れば文殊の知恵)が生まれますし、PDCAも素早く回すことができるようになります。

よく「メンバーの人数が多い場合はどのように参画してもらえば良いか?」という質問を受けますが、それは特別なテクニックがありますので、また別の記事で紹介したいと思います。

集団参画型を促すために、オフィスレイアウトを工夫している企業があります。
昨年末に視察をした、社員数300人ほどの企業です。
未来づくりの仕事は「集団参画型組織」で進めていますが、それを促進するために、オフィス空間には壁がなく、大中小、様々なミーティングスペースが用意されています。
社長からは、「好きな時に好きな人とミーティングして良い」と促されており、社員さんは、ミーティングスペースで雑談のようなノリで集会を行っていました。

ルーティンワークは従来型の組織で、未来づくりの仕事は集団参画型の組織で。
頭が混乱すると思われるかもしれませんが、それぞれの仕事をする時間は分けるので、切り替えは難しくありません。

この話をすると、「ダブルスタンダードではないか?」という人がいますが、ダブルスタンダードは相反する2つが同居する状態を言います。
相反しない2つを使い分けるのは「デュアルスタンダード」です。

大量生産の時代は、効率よく同じものをつくる組織が強かった。
しかし成熟社会では、人の知恵を結集して新しい価値を生み出す組織こそが競争力を持ちます。
未来を変えたいなら、組織の形も変える必要がある…そう考えています。
 

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